緒方 良(リフの惑星)- "これぞリフの惑星"というライブをFlowers Loftでのワンマンでお見せします!

クールとは程遠い感じのMVを敢えて制作

──まず、7日20日リリースされた配信シングル第1弾、『RATATAT』についてですが、ライブでけっこうやっている曲ですよね?

緒方:そうですね! 昔からライブでよくやっている曲なんですけど、所属事務所が決まったこともあり、新しく作り直そうみたいな感じで。

──リフの惑星の全体的な曲のイメージというか、クールで切れ味のある曲とはまた違ったダンスロック感ある曲ですよね。

緒方:いい意味で“マヌケ”じゃないですけど、そんな感じな、MVもどっちかと言ったらクールとは程遠い感じの…。

──そうですね。私もMVを観ましたけど、いい意味でぶっ飛んでいるというか(笑)。

緒方:MV制作予算の8割を熊の着ぐるみに注ぎ込んだんで(笑)。

──もうちょっと違うところに使ったほうが良かったんじゃないですか(笑)。最後の出演者一覧のところに「熊(Bear)」って出ていましたね。

緒方:そうですね。俳優の友達に出てもらって。

──あのMVはどんなコンセプトなんですか?

緒方:コンセプトは「メンバーが熊に襲われる」っていう。監督(花元 洵 / Jun Hanamoto-Hearn)がずっと昔からの飲み仲間で、それこそケバ(Ba.小林)とその人が知り合ったのが6年前とか。それでMV制作をちょくちょくやってもらったりしていたんですけど、「いつか、大掛かりなことやってみたいね」って言っているタイミングで今回大きな予算がついたので、やりたいことやろうと。

──今までのMVは同じ監督ではないんですよね?

緒方:そうですね。一度、花元さんに撮ってもらったことはあるんですけど、基本的には俺がやったりとか…。12本連続で作ったときは全部俺がやりました。昨年撮った20分くらいのめっちゃ長いMVがあるんですけど、『spangle』ていう曲が。その曲は別の知り合いの監督(Manami Sato)が撮ってくれました。

──今までのMVはライブをそのまま持ってきた感じの傾向があったと思うんですけど、ストーリー的なのはあんまりなかったですよね。

緒方:あまりないですね。楽しかったです。あとコンセプトは“楽しく撮影をしよう”ていうのもあったんで。

──曲のイメージとは別世界ですね。

緒方:全く別世界です! 全然合ってない。全然合ってないけど、クールにキメまくる曲じゃないのかな? というのはあったので。もうひとつは、CGで俺の顔にいろんな物を投げる案もあったんですけど、最初はケーキとかパイとか投げて、だんだんボーリングの球とか投げるみたいな。まあ、他の案にしてもちょっとどことなくふざけたいのはあって。ガチガチにキメキメでいくっていうのではないかな? みたいな感じでした。間口を広げたいではないですけど、今回のMVは「リフの惑星ってなんか取っ付きにくいな」と思われたくないなというのはありました。

──あのMVがきっかけにじゃないけど…。

緒方:そうですね。評判も良かったし、今まであんまりMVに言及されることってなかったんですけど、今回はわりといろんな人に感想を言ってもらえます。

バンドとして上を目指す意識が芽生えてきた

──アー写が変わったくらいのタイミングでステージ衣装も一新して、ライブのイメージも変わりましたよね。

緒方:そうですね。だいぶ変わってきている、いい意味で開けてきたかなと思います。

──それは今までのリフの惑星の固定概念というか、「リフの惑星ってこういうバンドだよね」ていうのから脱却したいというのがあったのですか?

緒方:うーん、そうですね、脱却したいっていうのもありました。でもそれっていうよりかは、自分たちを世に広げていくためにどうするか? みたいな。無理に格好つけて下に構えているんじゃ人は付いてきてくれないよね、とは思っていたので、今までの自分たちを変えるっていうよりかは、“開いていく”っていうか…。

──結成して今5年間やってきて、これから上を目指していくうえで必要だと気付いてやってみたわけですね。

緒方:そんな感じですね。バンドとして上を目指していこうっていうのがメンバー4人の共通の意識になってきつつあります。

──なるほどね。『RATATAT』をきっかけに変えていこうという意思はあったのですか?

緒方:今回、4曲のリリースの順番として、一番間口の広い曲を最初に持っていこうというのもあったので、わりとそういう意図はあったかもしれないです。

──『RATATAT』のMVで緒方さん的にお気に入りのシーンはありますか?

緒方:熊と、血のり? 熊に予算の8割ぶっ込んだっていうのもそうだし、血のりは血の色とかを後で調整したりとこだわっていて、熊が出てきた瞬間と血のりを塗った瞬間は現場が盛り上がったんですよ。あのB級ホラー感みたいな。あそこはぜひ、って感じですね。

──いい意味でね。いい意味ですごくホラーっていう感じじゃないじゃないですか。それが庶民感があっていいというか。

緒方:そうですね。いつかは『呪怨』みたいなガチホラーを撮りたいと話はしているんですけど。いいですよね。監督がオーストラリアとのハーフの方なのであの感じが出ているのかもしれない、ちょっとカラッとしているというか、陽気っていうか。日本人の感性っぽくないですよね。いい意味で、あれ売れるためのMVじゃないなっていうか、メンバーを格好よく撮るとかそういうの一切概念としてないですし、監督に全権委ねられたんですよ。やりたいことやろうよって言って持ってきたのがそれだったので、面白いからやろう! みたいな感じで。今後それができるとは思えないからそういう意味で楽しかったですね。

──良かった良かった! 今しかできないっていうのはいいですね。

緒方:そうですね。今しかできないと思います。もっと売れてきたらあんなの絶対撮らない(笑)。俺がレーベルのスタッフだったら絶対にNG出します。「売れるために何の効果があるの?」みたいな。

配信シングル第2弾『MUSIC』は“=(イコール)リフの惑星”みたいな曲

──シングルリリース第2弾以降の楽曲はどんな感じになりそうですか?

緒方:8月24日にリリースした曲『MUSIC』は、結成当初からやっている曲なので、“=(イコール)リフの惑星”みたいな曲です。自分たちにとって大事な曲なので、リテイクするっていう話があったときにこれは絶対やるって決めていました。3作目に関しては、まあもともとライブでやっていた曲なんですけど、アレンジャーが入るってなって全然違う曲になりました。前はライブでやってたんですけど、アレンジ変わり過ぎて難しくてやってなかったんですが、今日のライブ(8月23日『MUSIC PLACE vol.22』)ではやります。

──そして9月のワンマンの後にリリースされるのが?

緒方:『boy』という曲で、oasisみたいな感じのバラード曲です。もともとギター2本の曲なんですけど、それも別のアレンジャーが付いていてストリングスのアレンジが入る感じになりました。

──いつかBIGになったら、ストリングス隊連れて生演奏できますね。

緒方:その曲しかないのに(笑)。

──今日、oasisのロンT着られてますしね。

緒方:そうなんですよ。一度アレンジが上がってきてかなりシンプルだったので、もともと曲がoasisっぽいので『Whatever』みたいになるの気にしなくていいからやってほしいと言ったら、もろ『Whatever』になったんですけど(笑)。

──ここ最近、アー写やステージ衣装、ステージの構成もけっこう変わったなという印象なんですけど、もっと広げていきたいというのが根本にあって変えてみているんですか?

緒方:ステージ衣装に関しては、俺としてはずーっとスーツを着てやりたいと思っていて。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが大好きなので、ミッシェルみたいにやろうよーと思っていたんですけど、メンバーが暑いとかでやってくれなかったんですよ。事務所の人が「衣装とか揃えたほうがいいんじゃない?」と言っていて、「きた! ラッキー!」と思って。それで揃えている感じです。

──ステージ衣装を揃えているっていうバンドはイメージつきやすいし、リフの惑星は雰囲気にも合っていますよね。

緒方:最近は揃えているバンドいないし。昔はもっといた気がしたけど。

──こういうライブハウスから見せ方にちゃんとこだわり持って頑張っていこうとしているバンドは人目を引きますよね。

緒方:そうですね。サーキットとかに出てもそうですけど、「あのスーツのバンドね」って覚えてもらえたらいいなと。単純に俺はミッシェル好きだから、ずっとあんな格好したかったんですけどね。

──緒方さんだけいつもすごく派手な服着ているイメージだったから。

緒方:そうだったんですけどね。「お前らちゃんとしろ」って怒られて、みんながどう思っているか知らないけれど、俺はラッキーって感じですね。本当はスタイリストが付いていればいいんですけど、付いてもないからスーツで揃えようぜ、みたいな。

ワンマンは2年間積み上げてきたものを出せるステージに

──2020年の11月に初ワンマン。そして今回が2回目のワンマンということで、このタイミングでやろうと思ったのはなぜですか?

緒方:4カ月連続のリリースもあるし、バンドとしてここらで一発大きなことをやりたいと思って。バンドとして勝負かなと。やっぱりバンドって良くも悪くも目標がないとなかなか動けないところがあるので、目標が一個決まってみんなでそこに向かって動けている今の状況はいいことかなと。

──企画ではなく、ワンマンで仕掛けようと思ったのはどういう意図があったんですか?

緒方:いろいろ曲があるのをお披露目するじゃないですけど、それをちゃんと見せたいなと。ワンマンでガツンと勝負かけていこうっていう感じもあります。企画は去年やったので。大きな目標を立ててそこに向けて頑張りたかったというか、バンドのギアをもう一段階上げていきたくてワンマンにしました。やっぱりワンマンをやるってなったときにみんなの反応が全然違うなと。チケットの動きとか、SNSの反応とか。ワンマンだから行こうと思ってくれる人がいるんだなっていうことが嬉しかったです。やっぱり企画になったら他のバンドに頼っちゃうのもあるので、自分たちしかいないから分かりやすいじゃないですか。白黒つくじゃないですけど。

──ワンマン公演タイトルの『リフレインが叫んでる』ってどういう意味なんですか?

緒方:もう完全にユーミン(松任谷由美)の曲なんですけど。ワンマンのタイトルを決めるってなったときに、“リフ”とか“惑星”を絡めて何かいいのないかなと思っていて「あー! ユーミンの曲あるじゃん」って。意味もいい感じじゃないですか。“リフレイン”だし、“叫んでる”だし。

──自分たちで作ったのかな? ってくらいハマっていますよね! バンドの雰囲気に合っていると思います。

緒方:個人的には気に入っているんですけど、周りの人がどう思っているかは分からないです(笑)。

──ワンマンの見所はどこだと思いますか?

緒方:いつもだと5、6曲のライブで披露できていない曲もたくさんあるんですけど、リフの惑星は持ち曲が多いので「こういう曲もあるんだ!」というのを見せたいなと思っています。ワンマンは“これぞリフの惑星”というライブになるんじゃないかな? ずっと意識している(観客が)踊れて歌える曲で、リフがあって、セットリストもかなり珍しいやっていない曲を含めて、見応えある楽しいライブになるんじゃないかなと思っています。

──今回のワンマンは1回目のワンマンより期待しちゃって大丈夫ですか?

緒方:それはもちろんですね〜。曲のバリエーションが増えたし、俺らのステージ上での自由度もかなり増えたところもあるし、コロナ禍でも何もできてなかったわけじゃないんで、いろいろ制約があった中で2年間積み上げてきたものを出せるステージになると思います。

──ワンマン会場のFlowers Loftは何度か出演されていますが、実際にライブをやってみてどう思いますか?

緒方:まず、めっちゃ音がいい! 中音がめっちゃいいです。外音もいいんですけど、バンド目線で言うと中音がめっちゃくちゃやりやすい。それは他のハコと全然違うかな。外音も綺麗ですよね。でかいハコみたいな音がする感じがします。個人的なんですけど。それが今回ワンマンをFlowers Loftでやろうと思った一番の理由です。あと、多分みんな言うと思うんですけど、綺麗だし、ハンドソープがAesopだし(笑)。みんなAesopの話しますもんね。みんなするから言いたくないなと思いましたけど。あと、バーカウンターの居心地がいいですよね。長い間いやすいというか、ふらっと遊びに来て飲んで、ちょっとライブ観て、でまたここに戻ってきて、飲んでみたいな。アメリカのライブハウスなんかはそんな感じなんじゃないかな。その敷居の低さがいいなと思っています。

──ありがとうございます! ワンマン楽しみにしています!

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