最新BoPでアルピーヌに出力調整。WEC富士に向けて約40馬力抑制、トヨタとプジョーは重量ダウン

 9月9~11日に富士スピードウェイで開催される、WEC世界耐久選手権第5戦『富士6時間耐久レース』に向けて、ハイパーカーとLMGTEクラスに適用されるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)が発表された。

 ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の下で争われているハイパーカークラスにおいて、第4戦モンツァを終えた段階でポイントリーダーとなっているアルピーヌ・エルフ・チームの『アルピーヌA480・ギブソン』は今週末、日本で開催される6時間レースを前に大幅なパワーダウンを受けることとなった。

 WEC技術委員会が公開している最新のBoPによると、ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール/アンドレ・ネグラオがドライブする“グランドファーザーLMP1カー”は、シーズンの終わりから2戦目となるWEC富士での最大出力が403kW(約548PS)となる。

 前戦モンツァのBoP値と比較すると、エンジン回転数ごとに設定されているパワーレベルでは、8500rpmのテーブルで29kW(約40PS)の出力抑制を受けていることがわかる。これはアルピーヌにとって今季6回目のパワー調整に該当し、落ち幅は開幕戦セブリング1000マイルでの優勝後に受けたマイナス20kW(約27PS)を大きく上回るものとなっている。

 さらに、1スティントあたりに使用できる最大エネルギーについても前戦の795MJから43MJ削減され、今戦では752MJとされた。

2022年第4戦モンツァでWECデビューを果たしたプジョー・トタルエナジーズの『プジョー9X8』

 アルピーヌがパフォーマンスを下げられた一方、トヨタとプジョーのハイブリッド・ハイパーカーはともに18kgの軽量化が認められた。具体的にはTOYOTA GAZOO Racingの『トヨタGR010ハイブリッド』が1061kgから1053kgへ。富士がデビュー2戦目となるプジョー・トタルエナジーズの『プジョー9X8』は1079kgから1053kgに変わっている。

 最高出力については、ふたつのモデルとも第4戦モンツァから据え置かれトヨタが513kW(約697PS)、プジョーは515kW(約700PS)から変わっていない。また、ハイブリッドブーストが使用できる速度についても変更はない。

■フェラーリ、ポルシェ、コルベット、アストンマーティン全車が調整対象に

 LMGTEプロとLMGTEアマクラスでは、すべてのモデルが調整の対象となった。第4戦モンツァでGTEプロクラスのウイナーとなったシボレー・コルベットC8.Rはこの中で10kgの重量増を命じられ、最低重量が1265kgに。

 一方、ポルシェ911 RSR-19は5kgの軽量化を獲得し1259kgで富士に臨む。

 また、プロ・アマともに燃料タンク容量が2リットル増やされプロカーは104L、アマクラスのクルマは101Lとなっている。さらに、吸気リストリクターはプロカーで0.4mm、アマカーは0.3mmの拡大が許された。

 フェラーリ488 GTEエボはプロ、アマともに燃料タンク容量が3リットル減らされ、前者が92Lに。後者は89Lとなった。

 GTEアマにのみエントリーしているアストンマーティンも、搭載可能な燃料量が1リットル減らされ88Lに。また、ターボブースト圧についてもすべてのテーブルで微減となっている。

 アマクラスのマシンの最低重量はサクセスバラストの適用によって基本値から変動する。最新のリストによると、富士でもっとも重いクルマは1289kgとなる77号車ポルシェ(デンプシー・プロトン・レーシング)。反対にもっとも軽いのは、星野敏/藤井誠暢/チャーリー・ファグ組777号車アストンマーティン・バンテージAMR(D’ステーション・レーシング)で重量は1237kgだ。

WECフル参戦2年目のシーズンを戦うDステーション・レーシングのアストンマーティン・バンテージAMR

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