焦り?旧統一教会が献金返金 神奈川では要請応じ220万円 全国弁連「安易に和解しないで」

旧統一教会から220万円を取り返した元信者の親族男性=小田原市内

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が元信者らと直接交渉して献金の返金に応じるケースが出ている。神奈川県西部に住む元信者の親族の男性(71)は今月、返金を求めて小田原家庭教会を訪れたところ、教会側はあっさり220万円全額の返金に応じた。全国霊感商法対策弁護士連絡会は「それだけ教団が焦っている証拠だが、不十分な内容で安易に和解しサインすべきでない」と警鐘を鳴らしている。

 男性は安倍晋三元首相銃撃事件のあった7月以降、妻(69)名義の口座に不審な現金の引き出し記録を見つけた。2018年から4年間で計220万円が下ろされ、妻に尋ねると、自らが旧統一教会の信者であることを打ち明けた。

 男性によると、妻は2000年前後に仏教系の新興宗教団体によるボランティア活動に参加。その団体は当時、統一教会に吸収されかけており、妻もその頃から高額な壺(つぼ)や家系図を購入していたという。

 妻を説得して今年8月に教会を脱退させたものの、男性が壺を割ろうとすると「離婚する」と激怒。男性は「今まで1度もけんかしたこともなかったのに。マインドコントロールが完全に解けているかも分からない」と困惑する。

 口座の記録を基に明細書を出すよう教会側に要求すると、弁護士を通さず電話の交渉だけで教会は簡単に全額返済に応じた。男性は「泣き寝入りせずに動けば被害金額を取り返せることを同じ境遇の人たちに知ってほしい」と喜んだ。

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