いい将来、いいリーダー

 2年に1度、ものの考え方や暮らしぶりについて国民に同じことを質問し、その変化を探る。博報堂生活総合研究所は長年、1400項目もの「定点調査」をしている。質問の一つ。「日本人はどんな方向に向かっていると思いますか?」▲「よい方向に」という答えは、2020年が5.8%。この質問を始めた26年前と変わらない。これまで13回尋ねたが、いつも一桁にとどまる▲成長がずっと止まったままの日本を映し出すかのようだが、今の若い世代も受け止め方は同じらしい。将来の日本が「良くなる」と思うのは13.9%-。今年初め、日本財団が17~19歳の1000人に聞いたところ、こんな結果が出た▲米国など5カ国の同世代にも尋ねたが、日本は「良くなる」が著しく低い。国の将来に期待を持てないのが、選挙で若者の投票率が低い一因では? 先日あった県の意見交換会で、大学生を中心とする県明るい選挙推進サポーターの一人は、この調査結果を引き合いに“分析”を語った▲国の「いい将来」が思い描けないから、国の未来像を問う選挙に関心が向かない。なるほど、道理だろう▲同じ調査で「自国には優れたリーダーがいる」と答えたのも日本は3割足らずで最下位だった。今のリーダーの迷走を若い世代は“予感”していた…のかどうか。(徹)

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