江戸時代のSDGs紹介 宮崎市で講演 生活学ぶ

江戸時代のSDGsをテーマに開かれた「生目の杜遊古館」の講座

 持続可能な開発目標(SDGs)の視点で、江戸時代の生活や文化を紹介する講座が3日、宮崎市の「生目の杜遊古館」であった。同館の永井淳生館長が「江戸の生活~SDGsの先駆者たち」と題して講演し、約30人が耳を傾けた。同館主催。
 永井館長は、SDGsの17の目標ごとに江戸の人々の暮らしぶりを評価。身分やジェンダーの平等がなく、諸外国とのパートナーシップが限定的だった一方、捨て子・病人放棄の禁止をうたった「生類憐れみの令」や寺子屋の普及などにより教育・福祉分野は充実していたとした。
 また、リサイクル意識の高さにも着目し「着物を端切れになるまで使い、燃やした灰も洗剤やあく抜きに利用した。経済的な理由だが、循環型社会が実現していた」と指摘した。
 おけやげたの修繕、紙くず回収、陶器の焼き接ぎ、溶けたろうそく集め、貸本や布団レンタルなど、無数の”リサイクル業”があったことも紹介。「江戸の人々は元手がなくても知恵を使って何でも商売にした。物をシェアする仕組みや余計な物を持たない価値観が根付いていた」と締めくくった。

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