<金口木舌>買い物スポット共同売店

 うるま市の伊計島には学生時代によく世話になった。伊計大橋を車で渡り、夜釣りでタマンを狙った。残念ながら釣果は秘密。でも帰路に豊かな気持ちになれたのは友人と中身のない話を朝まで続けた時間と、満天の星空があったから

▼その伊計大橋ができた1982年の数年後から、伊計島共同売店は赤字になり始めたという。伊計島共同売店は来年創業100周年を迎える地域インフラ。日用品を島の人に供給し、生活を支えてきた

▼橋の開通で島民の生活の利便性は大幅に向上した。一方、橋を渡って本島で買い物が容易にできるようになり、共同売店の役割は変わった

▼共同売店は5年前から島で生産が始まった麦を使ったビールや麦わら帽子などの個性的な島の特産品を売り始めている。島民の生活を支えるだけでなく、島外の人たちとの交流の架け橋として活路を描く

▼思えば学生時代は島に行って美しい星空と海を無料で消費するだけだった。今度はドライブしながら新たな「買い物スポット」である共同売店を訪ね、島の魅力を堪能したい。

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