5万6298頭、殺処分完了 那須烏山の豚熱

防疫作業を進める県職員ら=7月24日午後、那須烏山市(県提供)

 栃木県は9日、豚熱(CSF)が発生した那須烏山市の大規模農場と関連農場で計5万6298頭の殺処分と埋却を終了したと発表した。国内最多の処分頭数となったが、想定より約2週間前倒しで終えた。引き続き、農場の清掃や消毒などを行い、全ての防疫措置が完了するのは今月30日ごろを見込む。県は下野新聞社の取材に対し、11月にも県内全ての養豚農場への立ち入り調査を改めて実施し、再発防止に向け指導を徹底する方針を明らかにした。

 殺処分は、同農場で飼育する豚の陽性が確認された7月23日夜に開始。猛暑対策として夜間から翌朝にかけて作業は進められた。完了は今月27日を見込んでいたが、9日朝に終えた。

 殺処分を巡る作業には、県や市町の職員のほか、協定を結んでいる県建設業協会などの関係者ら延べ約1万4千人が従事した。

 県が予定する農場への立ち入り調査は約150件規模で、国の定める飼養衛生管理基準の順守状況を確認する。特に重視するのは、ウイルスを持ち込む恐れのある野生鳥獣の侵入防止対策。設備の有無にとどまらず、侵入防止の設備が適切に運用されているかなど踏み込んで確認するという。

 福田富一(ふくだとみかず)知事は同日、作業従事者に謝意を示した上で「(防疫措置完了に向け)引き続き全力で取り組む。改めて養豚農場への指導を行い、発生防止に万全を期す」とコメントした。

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