こだわり野菜の「自販機」が人気 ココウォーク5階 “交換ノート”で声届け

野菜や米、卵、調味料などを取り扱う自販機。1日に1、2回補充する=長崎市、みらい長崎ココウォーク5階

 オーガニック野菜にみそ、ごま油や厚揚げ豆腐-。多様な商品が並ぶのは、みらい長崎ココウォーク(長崎市茂里町)5階の片隅にある自動販売機の中。オーガニックや自然食品にこだわる長崎市興善町の青果店「GREEN GROCERY STORE」(グリーン・グロッサリー・ストア)が8月にひっそりと始動した“面と向かわない商売”が、消費者の心をつかみ始めている。
 オーナーの髙橋将也さん(39)によると、自販機での無人販売はコイン精米機の運営がきっかけ。スタッフの休日を確保できる上、実験的な販売などマーケティングもでき、可能性を感じたという。設置場所は売り場からトイレに続く廊下にあり、旧喫煙所を再活用。30品ほどをそろえる自販機の横には、商品の特長を書いたボードや消費者と店主がやりとりできる交換ノートを置いている。

消費者の声を受け取り、ノートにペンを走らせる髙橋さん

 490円のナスなど、高い価格帯の商品も実験的に置いてみると、本店より売れることもあった。「今まで接客が必要だと思っていたけど、要らないのでは」。その価値を知りたいなら調べれば分かるし、本人がじっくりと判断できるのも利点。食品ロスを防ごうと複数の珍しい野菜を彩りよく組み合わせたサラダパック(200円)が人気を呼び、サラダで出合った野菜を求めて本店へ買いに来るという、“名刺代わり”の商品に育った。
 「夜ご飯に焼いて食べます」「ゴーヤーが少し傷んでいました」-。ノートに書かれたリクエストや感想、クレームは、関心を持たれていることの証し。顔は合わせなくても、消費者の的確な声にスピーディーに応えながら、安全安心な食べ物を届ける髙橋さんの挑戦は続く。


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