トヨタ、WEC富士初日を1-2で終えるも対プジョーに油断なし「改良を重ね最高の状態で挑みたい」とハートレー

 前年のシリーズ覇者、そしてル・マン24時間レースの5連覇王者としてTOYOTA GAZOO Racingが“ホーム”の富士に凱旋。9月9日に開幕したWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースの走行初日を小林可夢偉駆る7号車トヨタGR010ハイブリッドがトップで終えた。

 2019年以来、3年ぶりの開催となるWECの日本ラウンド『富士6時間耐久レース』の週末が9日(金)にスタートした。同大会で過去8戦7勝を誇るトヨタにとって、ここ富士はホームグラウンドだ。また、2021年にデビューしたトヨタGR010ハイブリッドにとっては、搭載されているハイブリッド・パワートレインが開発されたのがトヨタの東富士研究所であることから、まさに生まれ故郷への凱旋となる。

 そんな富士が舞台となる今戦での勝利に向け、トヨタは好調な滑り出しをみせた。11時から始まったFP1では、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組の8号車がトップ、今季からチーム代表を兼任する小林可夢偉組7号車が2番手につけた。
 
 午後に行われたFP2では、マイク・コンウェイ、ホセ-マリア・ロペスとチームを組む可夢偉が1分29秒948という全体ベストをマーク。これが初日最速タイムとなり、2番手には姉妹車7号車がつける結果となっている。

 両セッションでワン・ツーという好結果にも表れているように、トヨタの2台は大きなトラブルもなく順調に周回を重ね10日(土)の予選、そして11日(日)の決勝レースに向けて準備を進めている。初日に行われた2回のプラクティスを終えたドライバーたちのコメントからも、セットアップ等がスムーズに行われたことを窺うことができるが、一方でライバルとなるプジョーやアルピーヌへの警戒も怠っていない。

 凱旋レースとなるWEC富士を戦う6人のドライバーの初日コメントは以下のとおりだ。

マイク・コンウェイからホセ-マリア・ロペスにドライバー交代を行う7号車トヨタGR010ハイブリッド 2022年WEC第5戦富士6時間

■7号車トヨタGR010ハイブリッド

●小林可夢偉

「3年ぶりにWECを戦うために富士スピードウェイに戻ることができて、本当にうれしいです。富士は我々のホームコースであり、ふたたび日本のファンの皆さまに会えるのは最高です」

「GR010ハイブリッドは初日からとてもバランス良く、好感触です。我々は今日の2回のセッションをバランスの調整と、ここ富士を初めて走るGR010ハイブリッドを学ぶことに費やしました。これまでのところ順調ですが、ライバルとのラップタイム差は非常に近接しているので、タフなレースになるでしょう」

●マイク・コンウェイ

「また日本に来ることができ、そして、富士スピードウェイを初めてGR010ハイブリッドで走れてうれしい。さまざまなセットアップを試しながらも、両セッションをワン・ツーで終えられたので、良いレースウイークのスタートが切れたと思う」

「順調に進めることができたが、まだ幾つか改善できる部分も残っており、ハードワークを続けるよ。ハイパーカーカテゴリーでの争いは激しさを増しており、決して油断はできない。明日も決勝レースへ向けた準備を続けていく」

●ホセ-マリア・ロペス

「全体的に見て良い一日だった。2台のGR010ハイブリッドが、ライバルのハイパーカー勢に対して速さを示せたことは悪くない。まだスタートしたばかりで、ライバルがどのようなプログラムで進めているのかわからないので、我々はできることをやるだけだ」

「明日の予選では、アタック1周の実力が明らかになるはずで、どうなるか楽しみだよ。決勝のレースペースに関してまだやるべきことはあるし、かなりの接戦でチャレンジングな週末になると思うが、まずは順調なスタートが切れたと思う」

■8号車トヨタGR010ハイブリッド

●セバスチャン・ブエミ

「今日の2回のセッションはどちらも順調で、多くの周回をこなすことができた。また日本に来られたこともうれしいし、ハイパーカーをここ富士で初めて走らせられたのも光栄だ」

「幸運にも今日は雨に見舞われることがなかったので、この先もこれが続いてくれることを祈っていまる。我々の予定していたプログラムは問題なく進み、残りのレースウイークへ向け良い準備ができた。決勝では各スティントで多くの周回を走ることになるので、タイヤ摩耗の面で慎重な走行が必要になるだろう。レースウイークを通して努力を続ける」

●ブレンドン・ハートレー

「富士スピードウェイに帰ってこられてうれしいですし、すでに多くの日本人ファンの皆さまをパドックやグランドスタンドで見かけた。今日は我々に大きなドラマのないスムーズな一日だった。GR010ハイブリッドの感触は良いけど、バランス面でまだ改良の余地がある。とは言え、レースウイークの最初では当たり前のことだ」

「初日を終えた時点で、完全に満足いくというようなことはほとんどないので、さらなる改良点を見出すべくチーム全員で努力を続け、ベストの状態で決勝レースに挑みたいと思っている」

●平川亮

「これまでのところとても順調で、まったくトラブルなく両セッションともにトップ2を占めることができています。GR010ハイブリッドは、初めてここ富士でドライブしたということを考えると、とても素晴らしい感触です。我々は車両バランスの微調整を繰り返し、一歩一歩改善を続けていますが、さらに続けて行く必要があります」

「明日の予選でのポールポジション争いがどうなるのか楽しみです。もっとも重要な目標である日曜日の決勝では、レースペースがカギになると思うので、全力を尽くします」

セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車トヨタGR010ハイブリッド 2022年WEC第5戦富士6時間

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