競技中止でも…二人きりの選手宣誓 来年の国体、舞台は海へ

アオコが発生し、緑色に濁った競技会場=9日午後2時30分、市貝町塩田

 第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」会期前競技のオープンウオータースイミング(OWS)の中止が決まり、静かに撤収作業が進む塩田調整池。山あいの池畔に国体を心待ちにしていた2人の声が響いた。

 「支えてくれた人たちに感謝し、日頃の練習の成果を発揮して存分に泳ぎ切ることを誓います」-。

 本県代表の伊原大翔(いはらひろと)(日光市東原中)と福田円(ふくだまどか)(宇都宮市晃陽中)。10日の開始式では声をそろえて選手宣誓をする予定だった。

 中止の報告を受け、肩を落とす2人に鈴木賢二(すずきけんじ)監督(今市スイミングスクール)が優しく促した。「せっかく練習してきたんだ。2人だけでもやろう」。式典用に特設された台上から、本番と同様に思いを込めた。

 雨上がりの空を映す池に向けて、二人きりの選手宣誓。たまたま居合わせた岡山県チーム関係者が拍手をくれた。

 来年の鹿児島国体OWSの会場は屋久島の一湊(いっそう)海水浴場。「屋久島に行きます」と気持ちを新たにした2人に、「次に向けてまた練習しようね」と鈴木監督。重ねてきた努力は、美しい海できっと報われる。

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