アオコ発生に前月から懸念 国体前日、水質悪化でまさかの中止

中止の連絡を受け、ブイなどを撤収するスタッフたち

 栃木県国体・障害者スポーツ大会局は9日、第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」会期前競技のオープンウオータースイミング(OWS)を中止すると発表した。会場となっていた市貝町の塩田調整池の水質悪化により、選手の安全が確保できないと判断した。

 町関係者などによると8月中旬以降、水不足などにより塩田調整池に微細な藻類が大発生する「アオコ」が発生し水質が悪化、対策を講じたが大会を開催できる水質の基準を満たせなかった。夏の少雨もあり水位は一時20%にまで減少。8月から気温や水温も上昇し、アオコが発生しやすい状況になっていたという。

 水量の確保は調整池を管理する芳賀台地土地改良区(理事長・入野正明(いりのまさあき)市貝町長)が担うが、競技向けの水質管理は行わない。だが町教委事務局国体推進室の渡辺隆憲(わたなべたかのり)室長は「結果的に町の水質管理が甘かったと言われれば受け止めざるを得ない」と話す。

 水質の数値は、8月下旬から対策として取水を増量した効果もあり改善していた。それでも「アオコの繁茂するスピードが速かった」と入野町長。毒性のある植物プランクトンが含まれる可能性もあり「選手の健康に関わる」と断腸の決断に至った。

 水質悪化を懸念する声は地元からも上がっていたようで、山川英男(やまかわひでお)町議会議長は「人為的なミスと言われても仕方ないのでは」と指摘する。

 中止は9日午後の監督者会議で各チームに説明された。「自然が相手の競技なので台風や雷での中止は想定していたが、まさかアオコとは」と栃木県の鈴木賢二(すずきけんじ)監督。「選手に泳がせてあげたかったが…。自然を恨むしかない」と無念の思いを口にした。

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