FP1からトップを狙っていく! MotoGP日本GPにワイルドカード参戦する長島哲太

 栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されるMotoGP第16戦日本GP(9月25日決勝)へTeam HRCからMotoGPクラスへのワイルドカード参戦が発表された長島哲太。幼少からの夢の舞台である世界最高峰クラスを走るチャンスをつかんだ心境を聞いた。

「超ワクワクというかドキドキというか、すごく日本グランプリが楽しみですね。2020年にMoto2で走ることができなくなったときに、MotoGPでレースをするには、どうすればいいかを考えました。そんなときにHRCから開発ライダーのお話をいただきました」と長島。

「MotoGPマシンのテストをしながら代役やワイルドカードで参戦するというのが、一番(MotoGPクラスのレースを走る)可能性が高いと思っていましたし、それが実現するのが、うれしいですね。選んだ道は間違っていなかったですし、今までの仕事ぶりを評価してくださったからこそチャンスをいただけたと思っています。HRCに感謝したいです」

2022鈴鹿8耐 表彰式

 HRCの開発ライダーとなった2021年、そして2022年とホンダRC213Vのテストを行い、MotoGPマシンでもてぎを最も走り込んだライダーのひとりと言っても過言ではない。その走りが評価されたからこそ、今回のワイルドカード参戦は実現した。決して鈴鹿8耐に勝ったから決まった話ではないのだ。

「もてぎは、他メーカーの開発ライダーと並んで一番走っているかもしれませんね。Moto2で優勝した意地もありますし、ここ2年でレースができなかった鬱憤も日本グランプリでは、晴らしたいですね。鈴鹿8耐は、耐久レースなので自分自身の力を出し切ることはなかったのですが、世界最高峰の舞台で、いろいろな意味で120%の力を発揮したいですね」

ホンダRC213Vに乗る長島哲太/鈴鹿サーキット60周年ファン感謝デー

 チャンスを手に入れたからこそ最高の結果をつかむ努力をするのは、レーシングライダーやアスリートなら当たり前のことだろう。今年の日本グランプリは、初日となる金曜日はフリープラクティスが1本しか行われない。まずは、ここでトップになることを狙っている。

「ミサノで(ミケーレ・)ピロがFP1で3番手につけていましたし、初日のFP1は、75分間のセッションが1本しかないのでチャンスがあると思っています。マシンテストでは、他の人と一緒に走る機会がほとんどなく、タイムで比較することしかできなかったので、みんなの走りを見たいですね」

「初日のポジションが高ければ高いほど、最終到達ラインも高くなると思いますし、最初からトップを狙っていかないといけないと思っています。周りに引っ張られれば、上げられる部分があると思いますし、自分でも、どこまでいけるか分からないので逆に楽しみですね」

長島哲太

 走り慣れたモビリティリゾートもてぎのロードコースならばFP1でトップタイムを記録することも期待できそうだ。長島が世界のトップライダーを相手に、どんなレースを見せてくれるか!? 楽しみは尽きない。

「思い出作りに行くとは思っていないので、しっかり成績を残したいですね。ホンダ勢トップ、シングルを狙っていきたいですし、その準備もできています。いきなり勝つことは難しいですが、今できることを、すべて出すことができれば、それほど悪い結果には、ならないんじゃないかなと思っています」

 兄貴分である富沢祥也が果たせなかった世界最高峰クラスへチャレンジする長島。様々な想いを乗せながら、時は刻一刻と迫ってきている。

2020年MotoGP第1戦カタールGP で初優勝した長島哲太(Red Bull KTM Ajo)

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