ブルーオリジン「ニューシェパード」無人打ち上げでエンジントラブル、緊急脱出システムが作動

【▲ 緊急脱出システムが作動したニューシェパードのクルーカプセル(無人)。ブルーオリジンによるペイロード専用ミッションNS-23のライブ配信アーカイブより(Credit: Blue Origin)】

米国の民間宇宙企業ブルーオリジンは日本時間2022年9月12日、同社の再利用型ロケット「ニューシェパード」による無人での宇宙飛行ミッションを実施しましたが、飛行中にエンジントラブルが発生してカプセルの緊急脱出システムが作動し、打ち上げは失敗しました。分離したカプセルは無事地上へ帰還したことが、同社のウェブサイトやTwitterで報告されています。

打ち上げに関する情報は以下の通りです。

■ニューシェパード(NS-23)

打ち上げ日時:日本時間2022年9月12日23時26分【失敗】
発射場:ブルーオリジンの打ち上げ施設“コーンランチ”(西テキサス、アメリカ)
ペイロード:クルーカプセル2.0(搭載ペイロード数36個)

今回のミッションは「NS-23」と呼ばれています。NS-23はクルーカプセルに人間が搭乗しないペイロード専用の無人ミッションで、米国内外の学界・研究機関・学生らによる科学・研究用の機器など36個のペイロードが搭載されました。ブルーオリジンによると、ペイロードの半数にあたる18個は、企業や大学が開発した宇宙関連技術の実証支援を目的としたアメリカ航空宇宙局(NASA)のフライト・オポチュニティ・プログラムから資金援助を受けています。

【▲ 打ち上げから1分4秒後、ブースターに搭載されているエンジンの燃焼ガスが乱れている様子(左)。この直後にクルーカプセルの緊急脱出システムが作動した。ブルーオリジンによるペイロード専用ミッションNS-23のライブ配信アーカイブより(Credit: Blue Origin)】

ブルーオリジンが実施したライブ配信のアーカイブを見ると、打ち上げから約1分が経ったところでブースターに搭載されているエンジンの燃焼ガスが乱れて姿勢が傾き、打ち上げから1分5秒後にカプセルの緊急脱出システムが作動したことがわかります。分離したカプセルは高度3万7345フィート(約11.4km)まで達した後に降下してパラシュートを展開し、地上へ無事帰還しました。また同社によると、ブースターは地上へ衝突したものの、すべての人員の所在が把握されており、負傷者も報告されていないとのことです。

なお、現在ブルーオリジンがニューシェパードで実施している宇宙飛行は、地球周回軌道に入らないサブオービタル飛行(弾道飛行)となります。今回実施されたNS-23は、同社が2022年に実施した宇宙飛行ミッションとしては4回目、ペイロード専用のミッションとしては2021年8月のNS-17以来9回目のミッションでした。

関連:ブルーオリジン、「ニューシェパード」で6回目の有人宇宙飛行を実施

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文/sorae編集部 速報班

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