「第7波」クラスター134件 高齢者施設が最多 県「感染スピード速い」

栃木県庁

 新型コロナウイルスの流行「第7波」に入った7月以降、県内の高齢者施設や障害者施設、医療機関で発生したクラスター(感染者集団)は14日までに、計134件となった。クラスターの公表対象が5月下旬から限定されたにもかかわらず、今年上期(1〜6月、189件)の件数に迫る勢いで増え続けている。感染が広がるスピードが速く、30人以上の大規模なクラスターも起きている。

 県の発表によると、134件のうち高齢者施設が最も多く89件だった。次いで診療所などを含む病棟・医療機関が26件、障害者施設は19件だった。30人以上が感染したクラスターは14件あり、クラスターに関連する感染者数は14日時点で計1831人に上る。

 2020年6月に県内で初めてクラスターが発生して以降の累計は445件。このうち2022年に発生したのは計323件で、全体の7割を超える。

 県は5月下旬以降、重症化リスクの高い感染者への対応を優先するため、積極的疫学調査の重点化対象となっている高齢者施設、障害者施設、医療機関で発生したクラスターのみを公表している。それでも7月は50件以上、8月は70件以上発生した。

 県感染症対策課は「第6波と比べて感染が広がるスピードが速い。それぞれの施設で対策は講じてもらっているが、一度発生してしまうとなかなか止めることができず、クラスターにつながっているケースがあるようだ」と分析する。

 県は高齢者施設などの職員を対象に週1回、抗原定量検査を実施しているほか、クラスターが発生した施設に対し必要な場合は専門家などで構成するチームを派遣し、感染対策の助言を行っている。1日当たりの新規感染者がいまだ千人を超える状況の中、同課は「どこでクラスターが発生してもおかしくない状況」と警戒を強めている。

 

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