安倍晋三元首相の国葬についてどう考えますか─。「追う! マイ・カナガワ」取材班は、無料通信アプリLINE(ライン)で登録した「マイカナ友だち」を対象にアンケートを実施した。今月27日に日本武道館(東京都)で実施予定の国葬と、約16億6千万円と見込まれるその費用について、マイカナにはアンケート実施以来初めて千人を超える人々の声が寄せられ、そのうち「反対」を表明する声が7割を上回った。
◆若年層ほど「妥当だ」
アンケートには1070人が回答。「妥当ではない」(802人)「あまり妥当ではない」(101人)を合わせた「反対派」が、「妥当だ」(72人)「ある程度妥当だ」(79人)の「賛成派」を大きく上回り、政府が実施する国葬に厳しい目を向けている人々の声が大半を占めた。
年代別の集計では、反対派が10代で54%、20代で64%だった一方、30~70代はいずれも80%以上を占めるなど、世代間でも差があった。「妥当だ」の割合が最も高かったのは20代の20%で、10代の15%、30代の8%と続いた。
◆国葬に値する?議論なく
最も多かった「妥当ではない」を選んだ横浜市青葉区の公務員男性(61)は、「国葬に値するかどうかの議論もなく、財政が厳しい中、国民に還元されることのない行事をコロナ対策が必要な中で実施する合理的な理由がない」と断じた。男性は、菅義偉前首相が「友人代表」として追悼の辞を述べると発表したことについても「国の行事として行うのに、友人代表の言葉など私物化としか思われない」と厳しい目を向けた。
「あまり妥当ではない」を選んだ同市港南区の看護師の女性(50)は「個人としてはお悔やみ申し上げるが、政治信条が異なる政治家に対して国の予算が使われることには納得ができない」と、国葬の実施に眉をひそめた。
一方、「妥当だ」「ある程度妥当だ」を選んだ声には、「二度とこのようなテロを起こさないよう、国内および全世界に意思を表明するため」(厚木市の60代会社員男性)や、「政府は弔問外交を通して国際的な地位を高めてほしい」(横浜市西区の20代団体職員男性)などと、テロ対策や海外からの目を意識する声も寄せられた。
◆何にお金がかかるのか
「国葬費用、約16億6千万円の費用は妥当か」の質問に対しては、「妥当ではない」(810人)が最も多く、次いで「分からない」(93人)、「ある程度妥当だ」(78人)、「あまり妥当ではない」(49人)、「妥当だ」(40人)の順となった。
「分からない」を選んだ平塚市の男性(60)は「警備がどこでどのように行われるのか、また何にお金がかかるのか詳細が分からないのでなんとも言えない」としつつも、「政府には詳しく発表してもらいたい」と費用の透明性を訴えた。
吉田茂元首相の国葬時(1967年)に6歳だったという横浜市南区の女性(61)は、「テレビでいろいろな人が国葬について議論し、家族間でも話し合っていたのを子どもながらに覚えている」と話し、「国民の税金が使われるのだから、さまざまな立場から検証すべきだ」とさらなる議論の必要性を訴えた。
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アンケートは、LINE(ライン)登録したマイカナ友だちを対象に9~12日に実施した。無作為抽出の世論調査とは異なる。