ウィル・スティーブンス、アキュラ陣営のWTRと決別も2023年LMH/LMDhのシートはすでに確保

 ウィル・スティーブンスは、今シーズンのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のミシュラン・エンデュランス・カップのうち2ラウンドでドライバーを務めたウェイン・テイラー・レーシング(WTR)と決別したことを明らかにした。

 スティーブンスはWTRの10号車アキュラARX-05の追加ドライバーとしてシーズン序盤のデイトナ24時間とセブリング12時間に参戦したが、10月1日に行われるシーズン最終戦のプチ・ル・マンでは、既報のとおりトヨタのWEC世界耐久選手権ドライバーでもあるブレンドン・ハートレーがスティーブンスに代わって10号車陣営に加わる。

 チームとの今後について、来年はアキュラARX-06のLMDhプログラムでWTRと仕事をすることはないだろう、とスティーブンスは語っている。

 イギリス人ドライバーのスティーブンスは、JOTAのコ・ドライバーであるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、ロベルト・ゴンザレスとともにル・マン24時間レースでクラス優勝を果たし、最終戦を前にしたWEC・LMP2のポイントランキングでトップに立っている。なお、JOTAは2023年にはポルシェ963のカスタマーチームとなることが決定している。

 マクラーレンのF1テストドライバーでもあるスティーブンスは、来年プロトタイプレースのトップレベルにおいて、現在未発表のシートを確保したことを認めている。

「WECとIMSAには新しいカテゴリーがあり、多くの変化が訪れる」と、彼はSportscar365に対し語った。

「そして、今だけでなく、より長い目で見たときに、自分にとって最高のチャンスがどこにあるのかを決断しなければならなかった。僕は、自分が今後何をしたいかに基づいて決断を下した。そこには必然的に導かれた結果があり、自分がどこに向かい、何をすることになるのかは分かっているんだ」

「ウェインに、何か問題があったわけではないんだ。 それは、僕が前進するのに最適だと感じた場所のために、僕が下した決定だった」

「僕はIMSAでの時間を本当に楽しんでいる。ウェイン、リッキー(テイラー)、フィリペ(アルバカーキ)など、チームのみんなと一緒に仕事ができて、レースも大好きだ。素晴らしいよ」

「プチ・ル・マンで走りたかったけど、ここ数カ月はいろいろなことがあったから、(走れなくなることは)理解できた」

 スティーブンスは、ロード・アトランタで行われる10時間耐久のプチ・ル・マンを欠場するのは、2023年のドライブに関する交渉のタイミングに起因していると説明した。これについては、Sportscar365の取材に応じたWTRのチームオーナー、ウェイン・テイラーも同じことを語っている。

 スティーブンスは、来年に向けて「さまざまな選択肢」を手にしているが、LMDhとLMH(ル・マン・ハイパーカー)のマシンがWECとIMSAの双方に出走できるプロトタイプレースの新時代においては、チームやマニュファクチャラーがより多くの独占性を求めているため、そのうちのひとつだけが実現することになると付け加えている。

「僕のキャリアの中で、さまざまな選択肢があるのは初めてのことなんだ」と彼は説明した。

「これはいいことだし、人々があなたに参加してほしいと望む本当に良いプログラムを持っているとき、誰もがその立場になりたいと思うものだ。僕もその状況にあった」

「どの選択肢も素晴らしいし、僕もその一部になりたいと思っているので、(ひとつを選ぶのは)とても難しい」

「だけど、新しいルールが導入されると、チームとブランドに対する独占性がはるかに高くなる。(異なるマニュファクチャラー間の)複数のプログラムを組み合わせることがますます困難になるんだ」

「僕は、今後何が最善であるかについて決定を下さなければならなかった。それが、僕のしたことだよ。ウェインや彼らのいずれに対しても、僕は何の恨みも持っていない。彼らはとてもよくしてくれた」

「それはその中のひとつに過ぎず、彼らはすべての理由を理解している。僕は自分がこれから向かう場所に満足しているし、将来を楽しみにしている」

2022年IMSA第2戦セブリング12時間レースを走るウェイン・テイラー・レーシングの10号車アキュラARX-05
圧倒的な強さでLMP2クラスを制した38号車JOTAのロベルト・ゴンザレス、ウィル・スティーブンス、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ 2022年WEC第3戦ル・マン24時間

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