「孤立」きょうにも解消 五ケ瀬町三ケ所の舟の谷集落

沢から流れ込んだ濁流によって深くえぐられた道路や倉庫の地盤=21日午後1時5分、五ケ瀬町三ケ所・舟の谷

 台風14号で大きな被害を受けた五ケ瀬町三ケ所の舟の谷集落(3世帯14人)では、孤立状態が続く中、21日も懸命な復旧作業が続いた。同集落には、沢の水が鉄砲水のように一気に流れ込み、道路や倉庫の地盤が深くえぐられ、大量の土砂が住宅の壁まで迫った。
 沢の水が集落を襲ったのは18日夜。孫3人を含む7人家族で暮らす会社員山中重美さん(64)は「(18日)午後8時半ごろ、石が転がるような音が聞こえたので家の戸を開けると、目の前の道路が激流のようになっていて驚いた。慌てて2階に避難した」と当時の状況を語った。
 同10時過ぎには、近所の農業川口直美さん(84)の一家4人が、「避難させてくれ」とずぶぬれになって訪ねてきた。「土間にも寝床にも水が流れ込んできて、このままじゃがれきに埋もれると思い、命懸けで濁流を渡って逃げた。あんな怖い目に遭うのは生まれて初めて。助かってよかった」。川口さんはしみじみと振り返った。
 夜が明けると、山奥ののどかな集落の風景は一変していた。アスファルトで舗装された道路はめちゃくちゃに壊れ、半分は流失。山中さんの車庫や倉庫の地盤も約2~3メートルの深さまでえぐられた。川口さん宅の庭は大量の土砂が腰の高さまで積もり、田植え機なども完全に埋まった。
 同集落では電気や水道は一晩で復旧したものの、21日も車で集落外に出られない状況。一部の住民は勤務先などから借りた車を集落外に止めておき、そこまで歩いて通勤や通学を始めたという。同町によると、22日には同集落までの道を開通できる見込みで、町内の孤立集落は全て解消される見通し。

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