スーパーフォーミュラ・ライツはいよいよ最終大会。ランキングトップ2に王座争いへの意気込みを聞く

 9月24〜25日、岡山県の岡山国際サーキットで開催される全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第6ラウンド。2022年の最終大会となる一戦だが、今季のチャンピオン争いもこのラウンドで決することになる。現在99ポイントでランキングトップの小高一斗(Kuo モビリティ中京 TOM’S 320)、86ポイントで2位につける太田格之進(HFDP WITH TODA RACING)に、最終大会への意気込みを聞いた。

 若手の登竜門として、これまで多くのトップドライバーを輩出してきたスーパーフォーミュラ・ライツ。2022年はTOM’Sが小高、野中誠太、古谷悠河、平良響の4台体制を敷き、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)のサポートを受ける太田、木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)の2台が参戦。さらに上を目指す菅波冬悟(Byoubugaura B-MAX Racing 320)や川合孝汰(Rn-sports 320)、平木湧也と玲次を擁し参戦したHELM MOTORSPORTSという顔ぶれがそろい、緊迫感のあるシーズンが展開されてきた。

 モビリティリゾートもてぎで開催された第5大会を経て、今季はここまで7勝を挙げた小高が99ポイントでランキングをリードしている。ただスポーツランドSUGOでの第4大会での3連勝、もてぎでの1勝で一気にトップに立ったものの、オートポリスでの第3大会が絶不調で3ポイントしか獲得できておらず、ランキング2位の太田との差は、有効ポイント制ではあるものの、現在13ポイントだ。

 そんな小高は、ウエット混じりとなった走行初日、フルウエットとなった2回目は2番手につけたが、「鈴鹿やもてぎなどで雨を走れていますが、昨年まではTOM’Sとしてはあまりウエットが得意ではなかったものの、今年はすごく良い状態で走れています。初日の2回目の専有走行はニュータイヤを履いているタイミングが違うと思うので一概に比較はできませんが、悪くない感触ではあると思います。もちろんドライで走りたかったですけどね」と振り返った。

 迎える週末に向けて天候は予断を許さないところではあるが、「まずは普通に戦いたいです。ポイント差を見ても、自分が沈んでしまったりノーポイントで終わらなければと思いますし、自分次第だと思っています。変に考えすぎないようにしたいですね」と小高は意気込みを語った。すでにスーパーフォーミュラも経験済みだけに、タイトルを獲り宮田莉朋や坪井翔、山下健太といった先輩たちにしっかりと続きたいところだ。

小高一斗(Kuo モビリティ中京 TOM’S 320)
小高一斗(Kuo モビリティ中京 TOM’S 320)

■「勝つことだけを考えてレースしたい」と太田

 一方、ランキング2位の太田は第5戦鈴鹿で初優勝を遂げ、第8戦オートポリスで2勝目をマーク。勝利数で言えば小高とは大きな差があるが、シーズンで9回表彰台を獲得しており、無得点も他車にヒットされた2回をのぞけばゼロ。“高値安定”でポイントを積み重ねてきた。

 ただ最終大会を前に太田は「前回のもてぎ大会では、少し“楽しむ”ことを忘れていたような気がします」という。今季予選では「5回ポールポジションを獲れていますし、速さの面は自分の自信にはなっています」というが、「課題はスタート」だ。

「オートポリスからスタートでポジションを失うのがほとんどのシチュエーションになってしまっています。その点はチームも、自分も対策して練習しています。噛み合っていませんでしたね」と太田は語った。

 今回、太田は小高との差を詰める戦いになるが、その前にひとつひとつ勝利を重ねること、楽しむことを今週のテーマに挙げている。

「もちろんチャンピオンはかかってはいますけど、勝つことだけを考えてレースしたいです。今年のはじめはポイントをちゃんと獲ることを頭においていました。しかしSUGOでぜんぜん得点できずランキングも2番手に落ちてからは、データ等にも執着するようになってしまって。気持ち良く走る……ということが少なくなっていました」と太田。

「今回は今季最終戦ですからね。気持ち良く終われるようにしたいです。TODA RACINGの地元の岡山ということでチームも気合が入っています。最後はちゃんと勝って、その上で“人事を尽くして天命を待つ”ではないですが、チャンピオンについてはそこまで意識していないです。苦しいのはトップの方だと思いますしね」

 なお3位の木村にもチャンピオンの可能性はあるが、得点差は非常に厳しい状況にある。ただ木村も菅波も、そしてTOM’Sの野中、古谷、平良も、今回スポット参戦する元嶋成弥ももちろん勝ってシーズンを終えたいはずだ。さらにそこに、B-Max Racing Teamからは元F1ドライバーのロベルト・メリも加わる。ちなみにメリはウエットの初日2回目は4番手につけた。タイトル争いにどんな影響を与えるだろうか。

 GTワールドチャレンジ・アジアとの併催で岡山は賑やかな雰囲気となっているが、今週誰が栄冠を手にするのか、ぜひ注目したい。

スーパーフォーミュラ・ライツ第8戦オートポリスを制した太田格之進と戸田憲吾代表、加藤寛規監督
太田格之進(HFDP WITH TODA RACING)
スーパーフォーミュラ・ライツ岡山大会にスポット参戦するロベルト・メリ。カーナンバーは98となった。

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