「仰いで美しく登っても美しい」深田久弥が評した白山…周辺の山々を束ねる最高峰は2702メートルの御前峰

室堂を越え、頂上まであとわずか
御前峰から見る別の山頂。岩がごろごろしている
タンドリーチキンとうどん

 「仰いで美しいばかりでなく、登っても美しい山」―。旧制福井中で学んだ深田久弥は著書「日本百名山」で、越前五山の一つ、白山をこう表現した。

 9月中旬の平日午前6時半。登山口の駐車場には福井や石川に加え名古屋、兵庫、広島ナンバーも。富士山、立山と並ぶ「日本三霊山」だけに、人気は全国区だ。

 つり橋からスタートする砂防コースを行く。上空では、ヘリコプターが行き来していた。山小屋へ食料などを運んでいるのだろう。

 徐々に高度を上げると、右側から別山(2399メートル)が姿を現した。雄大な自然と、ちっぽけな自分の対比に心が落ち着く。

⇒「いつかは」でなく、今夏に登ってほしい白山

  ▲  ▲  ▲

 地面に突き刺さったような巨大な岩が並ぶ名所「黒ボコ岩」を通り抜けると、平原が広がり、巨大な白山が眼前に迫ってきた。

 しばらくして山小屋がある室堂に到着。少し肌寒く、植物の葉は色づき始めていた。秋を先取りだ。

 最後は30分ほど登って、御前峰(ごぜんがみね)=2702メートル=の山頂に。ちなみに白山という山はなく御前峰、大汝峰(おおなんじみね)=2684メートル、剣ケ峰(けんがみね)=2677メートル=と周辺の山々からなる。一般的に白山の山頂は御前峰を指す。

 旧火口のくぼみに紺青の水をたたえた翠ケ池(みどりがいけ)を挟んで大汝峰、剣ケ峰が見える。こっちは岩がごろごろとあるばかり。白山のもう一つの顔だ。

  ▲  ▲  ▲

 下りは別ルートの「エコーライン」を選択。白山には登山ルートが幾つもある。それぞれ違った角度から山頂を望むため、山の印象が異なる。だから何度も登りたくなる。

 左を見下ろすと、谷筋にはマッチ箱のような真っ赤なコテージが幾つも並び、テントが複数張られていた。ジオラマのようだ。

 午後になって気温が上がり、水蒸気のガスが上昇気流に乗って、わき上がってきた。真っ白な世界の中は、風もあってひんやりと心地よかった。

 往復14キロ、コースタイム約8時間の山行は、今回も大満足。泰澄大師による開山1300年を迎えた白山を、深田はこうも記している。「白山ほど威あってしかも優しい姿の山は稀(まれ)だろう」。その通り。

疲れた体にカレー味がうれしい「タンドリーチキン」

 登山前夜、鶏もも肉を一口大に切り、ジップ付き袋に入れ塩、こしょう、ヨーグルト、カレー粉などを入れてよくもみ下準備。当日は、冷たい飲み物と一緒にザックに入れて運ぶ。山頂ではフライパンで火にかけるだけ。疲れた体にカレーの味がしみわたる。レモンやミョウガを載せたうどんも一緒に。ちなみに今回の写真は、頂上で出会った山ガールの料理。いただくとあまりにおいしいので、レシピを聞いて、掲載させてもらった。ちなみにヨーグルトを入れ肉をもむことで、軟らかくなるそうです。

© 株式会社福井新聞社