「なぜ『読書の秋』という?」「秋は読書をする人が増える?」 専門家や図書館に聞いてみた

パークKSBアプリに寄せられたさまざまなギモン。今回はその中から「読書の秋」にまつわるモノを取材しました。なぜ「読書の秋」と言われるようになったのかや、秋は本当に多くの本が読まれているのか……などを図書館や専門家に聞いてみました。

「どうして読書の秋っていうの?」(早島町 モンブランさん 44歳)

このギモンについて、公益社団法人「読書推進運動協議会」の小塚昌弘事務局長に聞いてみました。

(読書推進運動協議会/小塚昌弘 事務局長)
「確たるものはないんですが、一般的に言われているのは、唐時代の文人の韓愈の詩の一節に『灯火ようやく親しむべし』というのがありまして、この詩は『秋は過ごしやすい季節なので夜は明かりをつけて読書をするのが良い』という風に、韓愈が自分の息子に読書を勧めた一節なんですね」

このほかにも「読書の秋」の由来は諸説あるようですが、古くから「秋が読書に適している」というのは言われていたようです。

また日本では「10月27日」が読書の日、ここから2週間は「読書週間」とされています。

「読書推進運動協議会」によると、「読書の日」の始まりは定かではありませんが、読書週間ができたのは75年前の1947年です。

目的は「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」というもの。この時の期間は11月17日からの1週間でした。

これは、当時アメリカで11月16日からの1週間が子どもに本に親しんでもらう「チルドレンズ・ブック・ウィーク」とされていたのにならってのものです。

日本では1回目の読書週間が広く支持をされたため、翌年からは11月3日の「文化の日」を中心とした10月27日から11月9日が「読書週間」となりました。

「読書週間」の場合は「秋だから……」ではなく、戦後の復興の中でアメリカにならった時期が偶然「秋」だったということのようです。

「『読書の秋』っていうけど読書をする人は増えるの?」(倉敷市 なおちゃん 52歳)

このギモンについて図書館は――。

(香川県立図書館/藤沢幸応 業務企画課長)
「他の月と比べて特に秋が多いというわけではないんですけど……」

香川県立図書館が2021年度貸し出した月別の本の数をみると、7月と8月が特に多くなっていますが、これは夏休み期間であることが大きな要因です。それでも他の月を比べてみると、3番目に多いのは9月、その次が10月と他の季節と比べて「秋」は「『比較的』本が多く読まれる季節」とは言えそうです。

(香川県立図書館/藤沢幸応 業務企画課長)
「夏の暑さも落ち着いてきて、夜の時間も長くなってきますので、読書に適した季節かなと思います」

本を巡っては年々、電子書籍も増えていて、全国出版協会などの調べでは、紙と電子を合わせた出版市場の推定販売額は1兆6742億円で、前の年より3.6%増えました。

(読書推進運動協議会/小塚昌弘 事務局長)
「SNSですとか、そういったメディアを含めたテキストの量はかえって増えていますから、文字を読む機会自体は増えている」

市場規模自体は3年連続のプラス成長ですが、紙媒体に限ると、2021年は前の年より1.3%減りました。

(読書推進運動協議会/小塚昌弘 事務局長)
「できましたら、なるべく紙の本で読んでいただきたいというのが、私どもの読書週間の趣旨でございまして」

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