【しぶマリ図鑑】キタオットセイ 愛嬌たっぷり、西日本で唯一飼育

キタオットセイ

 長い水かきのある前足を器用に使ってプールの中で顔をごしごしこすったり、口を大きく開けて好物の青魚を頬張ったり。愛嬌(あいきょう)たっぷりのしぐさを見せるキタオットセイ。飼育するのは西日本で唯一、国内でも4館のみという。

 キタオットセイは雌雄の体格差が大きく、大柄(体長約2メートル、体重130キロ)で落ち着いた性格の雄「うらちゃん」(9歳)と、小柄(体長約1.3メートル、体重30キロ)で活発な雌「おとちゃん」(8歳)の2頭が伸び伸びと暮らす。

 人気者だったオタリアが2014年に亡くなった後、国の委託でオットセイの繁殖や飼育研究に取り組む静岡県沼津市の水族館伊豆・三津シーパラダイスの譲渡先公募に「駄目もとで」(岡秀彦館長)手を挙げたところ、とんとん拍子に話が進み、16年にやってきたという経緯がある。

 主に北太平洋に分布し、国内では北海道に生息。毛皮目的の乱獲などで個体数が激減し、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧II類に指定されている。オットセイという名前はなじみがあっても、姿を見られる機会は実はとても貴重だ。

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 岡山県内唯一の水族館、玉野海洋博物館(愛称・渋川マリン水族館=しぶマリ)で飼育展示している生き物を紹介する。

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