【静岡豪雨】「やっとお客さんが戻ってきた矢先に…」浸水被害から1週間 土砂に飲み込まれた温泉宿の現在【現地報告】

台風15号の被害は山あいでも深刻な状況が続いています。浸水被害から1週間が経った静岡市葵区の山間地にある温泉旅館からのリポートです。

<植田麻瑚記者>

静岡市葵区の市街地から北におよそ13kmの山間地にある「油山温泉元湯館」に来ています。

周辺の道路は、行政による重機を使った作業で通れるようになりましたが、当時、宿泊していたお客さんの車は2台とも、土砂に半分ほど埋もれた状態で今も残っています。

先週23日金曜日、豪雨の影響で油山川が氾濫し、「油山温泉元湯館」では、大量の濁流が窓や壁を突き破って1階に流れ込みました。当時、従業員2人と宿泊客4人がいましたが、周辺の道路が寸断され、2階から、消防のヘリによって救助されました。

1階の休憩スペースです。奥から3mほどの高さの濁流が押し寄せたということで、いまだに大きな岩や流木が散乱しています。

「油山温泉元湯館」はペットと泊まれる旅館として、2021年11月にリニューアルしたばかりでした。旅館を営むご夫婦に話を伺いますと、「コロナ禍の中、やっとお客さんが戻ってきた矢先にこのような状況になり、先のことが何も考えられない」と肩を落としていました。

静岡市は、まず孤立地域や断水地域の復旧に全力を注いで、今後、山間部の被害調査をしていくとしています。旅館を営むご夫婦に「この場所で旅館を再開することは難しい」としながらも、「また、別の場所で再開できることを願っている。いつか、再開できたときには、ぜひ足を運んでほしい」とお話していました。

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