【佐藤俊輔さん(株式会社鈴木コーヒー 代表取締役社長)】人生の幸せなシーンをコーヒーで演出

株式会社鈴木コーヒー 代表取締役社長 佐藤俊輔さん

プロフィール
佐藤 俊輔(さとう しゅんすけ):新潟市中央区出身。高校まで新潟で過ごし、大学進学を機に上京する。大学卒業後は音楽の道を志してアメリカ留学するも挫折し帰国。サラリーマンを経験しようとUCC上島珈琲に入社した後に、家業の株式会社鈴木コーヒーへ入社する。


ガタチラスタッフ:『新潟人119人目は「株式会社鈴木コーヒー」代表取締役社長の佐藤俊輔さん。「コーヒーを売るのではなく、コーヒーを通じたその先にある幸せを販売する」ことをモットーに、雪室珈琲をはじめ、様々な商品を販売しています。実は音楽の道を目指していた!?という社長の素顔に迫りました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

音楽からコーヒーへ、人生の転換点

──いつか家業を継ごうと決めていたのですか?

佐藤さん:継ぐ気は全くなかったですね。小さい頃はコーヒーを飲みませんでしたし、「コーヒー=苦い」というイメージでした(笑)。今でもブラックコーヒーは苦手なのですが、「なぜ親はこんな不味いものを売っているんだろう」と昔は思っていましたね。

──音楽の道に進むために海外留学もされていたのですね。

佐藤さん:トラックメーカー(インストゥルメンタル音楽制作者)になりたくて、本場の音楽を学ぶためにアメリカに行きました。ソウルやR&Bなどのブラック・コンテンポラリーというジャンルが好きだったのですが、現地の音に触れた時に「これは他国籍の自分が生み出せる音楽ではない」と感じたんです。

──現地の方だからこそ作り出せる音楽ということでしょうか?

佐藤さん:現地の自然と音楽を作りだしている姿を目の当たりにして、そう思いましたね。帰国してからは大工をしていたのですが、将来的なことを考えてサラリーマンを経験しようと思い、UCC上島珈琲に入社しました。それも家業と同じ業界だといろいろ都合がいいだろうというくらいの考えでしたが、そこで商売の厳しさと営業の面白さを学びましたね。次のステップに向けて転職を考えているタイミングで、「そろそろ帰ってこい」と父親から連絡が来たんです。

──それから鈴木コーヒーに入社されたのですね。

佐藤さん:入社してからは社風に馴染めず、東京で営業をしていた自分のやり方に自信もあったので、東京のビジネススタイルを無理やり押し付けていました。若い社員には成長してもらいたくて手塩にかけたつもりでしたが、「あなたにはついていけません」と辞表を出されてしまったんです。その時に営業の能力と経営の手腕は全く違うということに気づかされましたね。

──不穏な雰囲気になってしまったのですね…。

佐藤さん:自身の根性を叩き直す意味で当時は開拓できていなかった上越エリアの営業をゼロから始めました。その時に出会ったのが「雪室珈琲」です。コーヒーは新潟の特産品ではありませんが、雪室でコーヒー豆を熟成させることによって、新潟の独自性をアピールできると考えたのです。一人で雪室に通いつめていくうちに、他に趣旨に賛同してくれる企業が増えて、「越後雪室屋」というブランドが生まれました。

──今ではスーパーでも見かけるほど、「雪室珈琲」を知っている人は多いですよね。

佐藤さん:「鈴木コーヒー」は知らないけど「雪室珈琲」は知っているという人が増えましたね(笑)。今では同じような取り組みをしているメーカーも出てきましたが、雪室珈琲は先駆者として全国的な知名度を誇っています。雪室で寝かせることで雑味と苦味の角がとれて、よりまろやかな味わいになるんです。コーヒーが苦手な方でも飲みやすいので、贈り物にもおすすめですね!

人生の幸せなシーンを彩るコーヒーの世界

──佐藤さんが事業を継承してから改革した点はありますか?

佐藤さん:元の経営理念は、「コーヒーを通じて地域文化に貢献するということ」だけだったのですが、専務になったタイミングで「全従業員の個性と創造性を最大限に発揮して、私たちとお客様が物心両面において幸福を体感できる社会の実現を永続的に追求する」と「時代の変化に挑戦し、常に新しい価値の創造者であるように行動する」を加えました。

──お客様だけでなく、“従業員の幸せも”というところが素敵ですね!

佐藤さん:コーヒーは人生の幸せなシーンにしか登場しないと思っていて、暮らしにコーヒーを飲むシーンがたくさんあるということは“世の中が幸福”だということです。当社はコーヒーを通じたその先にある幸せを販売しているんですよね。幸せを販売するにあたって「まずは自分が幸せであること」が大切なので、社員が幸せであるように願っていますし、全従業員に伝えています。

SDGsとコーヒーの親和性

──SDGsの取り組みを積極的に行われていますよね!

佐藤さん:SDGsとコーヒーは親和性が高いと思います。様々な取り組みを行っていますが、コーヒーの抽出カスをたい肥に混ぜると良質な土ができることから、花の種を漉き込んだ再生紙「シードペーパー」と、環境と社会に配慮したスペシャルティコーヒーを組み合わせた「BEAN’S BLOSSOM」という商品を専門学生さんと一緒に開発しました。コーヒーは“レッドハニー製法”と言う環境に優しい方法で精製されていて、売り上げの3%はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに寄付しているサスティナブルな商品です。今後もあらゆるシーンで、コーヒーを通じたチャレンジをしていきます!

──通信販売はもちろん、直営店もたくさんありますが今後も増えていく予定ですか?

佐藤さん:2022年9月28日から上古町にポップアップストアをオープンしました。期間限定ショップですが、当社がプロデュースして、運営は別会社にやってもらうという新しい形態に挑戦しています。今後は半フランチャイズのような形での展開もしていきたいと考えています。

──チャレンジしたいことはたくさんありそうですが、最後に今後挑戦したいことを教えてください!

佐藤さん:個人的にも会社的にも「ダイエット」ですね(笑)。会社として大事にしているビジネスの軸が「SDGs」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」なのでIT化を進めていますが、もう一つの軸として「健康経営」を推進していきたいと思っています。数年後には定年が70歳になる時がくるので、年をとっても働ける環境を作らなければなりません。そのためには心身ともに健康が大切です。それは自分だけではなく、会社としても意識していきたいと思います。いつまでもカッコよくいたいですからね(笑)!

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株式会社鈴木コーヒー
住所:新潟市竜が島1-4-4
電話:025-249-7400
公式オンラインストア:https://bellmate.com/

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