共に造った「いのきノ一滴」…猪木さんと親交あった毛呂山の酒造社長「とにかく悲しい」 昨年は限定版も

アントニオ猪木さん死去 埼玉県内からも悼む声

 「燃える闘魂」のキャッチフレーズで昭和、平成のプロレスブームをけん引し、参院議員も務めたアントニオ猪木(本名猪木寛至=いのき・かんじ)さんが1日午前7時40分、心不全のため自宅で死去した。79歳。横浜市出身。マネジメント会社が明らかにした。

 アントニオ猪木さんの訃報を受け、3年ほど前から猪木さんとコラボした日本酒を販売している麻原酒造(本社・埼玉県毛呂山町)の麻原健一社長(58)は「一報を聞いたときは信じられなかった。とにかく悲しい」と言葉を絞り出した。

 猪木さんが命名し、ラベルを直筆でデザインした「いのきノ一滴」は県産の酒造好適米「さけ武蔵」を使用した純米大吟醸。酒造オリジナルの酵母を使い仕込んだ。昨年4月には猪木さんのリングデビュー60周年を記念した特別仕様の酒も販売した。

 麻原社長と猪木さんは共にパラオ共和国の親善大使を務めており、食事を共にする仲だった。酒を一緒に造ることになったのも食事の席での話がきっかけ。完成時、すでに猪木さんの体調は万全ではなかったというが、「一口、二口ほど試飲して、とても気に入ってもらったと覚えている」と懐かしそうに振り返った。

 リングの内外で闘魂を燃やし、多くのファンに愛された猪木さん。その姿を間近で見てきた麻原社長は「波乱の人生を過ごしたと思う。ゆっくり安らかに休んでほしい」と語った。

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