【こりゃ、なんでぇ岡山】首なし地蔵(津山市) 義民の歴史物語る

旧出雲街道沿いにたたずむ首なし地蔵=津山市二宮

 津山市二宮の「旧出雲街道」沿い。ひっそりとたたずむ5体の地蔵はどれも頭部がない。「初めて見る人はぞっとするでしょうね」。地蔵の世話をする地元の老人会「むつみ会」の東城達彦会長(81)が笑う。

 江戸中期、年貢の一部免除などを求めて作州地域で起きた農民一揆を首謀したとして処刑された5人を哀れみ、設けられたという。ただ、いつ誰がこの地に建立したのかなど不明な点が多い。「6体あったが、遺族が1体を持って帰った」といった逸話も残る。

 むつみ会は1996年、地蔵の雨よけに屋根を設けた。それからは2、3年ごとに慰霊祭を行って前掛けを新調。日ごろは水や花を供えて供養し、街道のまち歩きイベントで訪れる人を迎えている。

 「見た目は確かに恐ろしいかもしれない」と東城会長。「でも、その裏には地域のために身をささげた義民の物語があることも知ってほしい」と話す。

 アクセスメモ 「美作国二宮」として知られる高野神社(津山市二宮)から西に約200メートル。JR院庄駅から徒歩で約10分、中国自動車道院庄ICから車で約10分。近隣に観光用の駐車場はない。

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