沖縄戦で焼失した旗頭が復活「長年夢だった」 那覇・久米の「青龍刀」住民にお披露目 

 【那覇】那覇大綱挽久米実行委員会は9月23日、沖縄戦で焼失した那覇市久米の旗頭「青龍刀(セイリュウトウ)」を復活させた。同日、那覇市の久米公園で旗頭への入魂式を実施した後に旗を組み立て、久米地域の住民にお披露目した。トゥールー(旗頭の頭の部分)には、上をまっすぐ向いた龍の頭が構え、旗字には「師」と書いてあるのが特徴。

 久米地域には、戦前まで4旗の旗頭があったという。大門には一番旗「青龍刀」と二番旗「撫子」が、西門には一番旗「斧鉞(サーフンユーチー)」と二番旗「水仙」があったが、沖縄戦で焼失した。

 名嘉原盛政実行委員長(63)によると、旗頭を作る職人は高齢化し、後継者もいなかったことから、職人らが各地域に作り方を伝えていたという。職人から習った技と絵巻を参考にしながら、1971年に水仙を再現し、90年に撫子、2011年に斧鉞を完成させた。材料調達から自分たちの手で1旗ずつ復元してきた。 名嘉原会長は「コロナで疲弊している中で、皆で頑張ろうと言ってやってきた。長年夢だったものがやっと完成してうれしい」と話した。

 青龍刀は、3年ぶりの開催となる10月9日の那覇大綱挽でもお披露目する。青龍刀を初めて上げた実行委員会のメンバー(29)は「(那覇大綱挽では)どこよりも勇ましく上げたい。世界平和やコロナ収束に御利益があれば良い」と意気込んだ。  (中村優希)【関連記事】
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