元寇船、発掘調査 重さ300キロ“いかり石”引き揚げ 長崎・松浦

支援者に一足早く公開された「いかり石」=松浦市立埋蔵文化財センター

 長崎県松浦市鷹島沖で行われている元寇船のいかり発掘調査で、市は2日、重りとして使用された長さ2.3メートルの石材(いかり石、推定約300キロ)を海底から引き揚げた。今後、付着したカキ殻などを取り除き、石の種類などから元寇船がどこで建造されたかなどの解明に役立てる。
 引き揚げ場所は、1日に木製いかりをつり上げた鷹島町神崎免の沖約50メートル、深さ約20メートルの海底。いかり石が自重で折れないように5本の帯状のベルトでバランスを取りながら慎重に作業を進めた。
 潜水作業を担ったのは國富株式会社(広島県呉市)の潜水士6人。主任の福島憲樹さん(43)は「現場の海底はにごりで視界が悪く、1メートル先も見えないほど。台風で作業ができない日もあった。潜水士の安全管理や、作業でいかりが破損しないよう気を使いながら作業した」と引き揚げを無事に終えてホッとした表情。
 この日も市が企画した見学ツアーに県外から10人の支援者が参加。仙台市から訪れた一條文佳さん(31)は、元軍と鎌倉武士の戦いを描いた絵巻物「蒙古襲来絵詞(えことば)」(国宝)に登場する肥後国(現在の熊本県)の御家人、竹崎季長(すえなが)の子孫。「ふるさと納税で引き揚げを知った。母方の先祖が元寇で戦ったと伝え聞いていたので興味があった。実際にいかり石を見て感無量でした」と話した。


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