【DeNA】佐野、初の最多安打 球団史上5人目 左打者では石井琢朗コーチ以来の栄誉

6回横浜DeNA無死。佐野が今季161安打目となる安打を放つ=神宮(立石 祐志写す)

◆横浜DeNA2-8ヤクルト

 快音が響いた。六回の先頭。ヤクルトの原が投じた外角143キロに、佐野が逆らわずにバットを出す。鋭い打球は右寄りに敷いた守備シフトの逆を突き、がら空きの三遊間をライナーで破った。

 今季161安打目で中日の岡林に並び、タイトル制定後では球団史上5人目となる最多安打を獲得。左打者としては石井野手総合コーチが171安打を放った2001年以来の栄誉に輝いた。

 前日に今季の全日程を終えた岡林と1本差で迎えた最終戦も三浦監督と相談し、1番ではなく3番で先発。普段通りを貫いた27歳は「素直にうれしい。これも日頃からサポートしてくれる皆さんのおかげ。感謝の気持ちでいっぱい」と、ヒットメーカーの誉れに実感を込めた。

 20年の首位打者以来となるタイトルだが、勲章の味はひと味違う。

 2年前はシーズン終盤に左肩の故障で離脱し、106試合の出場にとどまったが、今季はほぼ完走の133試合。打率3割6厘を残し、自己最多となる22本のアーチも描いた。プロ6年目で初のリードオフマンも経験。1~3番のいずれでも打率3割以上を記録する安定感だった。

 最終戦でまたも眼前にヤクルトの歓喜が広がったが、「僕たちの反撃には残されたチャンスがある」と力強い。神宮で待っていろ─。主将はそう言わんばかりだ。

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