多摩川で昭和初期まで運航した渡し船「丸子の渡し」を現代に再現 子ども連れが乗船楽しむ

かつて渡し船が往来した多摩川で乗船を楽しむ参加者=川崎市中原区

 多摩川で昭和初期まで運航された渡し船を再現するイベント「丸子の渡し祭り」が2日、川崎市中原区の多摩川河川敷などで行われ、多くの子ども連れが乗船を楽しんだ。地域住民ら約20人でつくる丸子の渡し復活協議会の主催。

 同協議会によると、丸子の渡しは平安時代に既に運航していたと記述された文献もある。丸子橋が開通し、1934年に廃止されるまで生活の足として住民に利用され、嫁ぎ先に向かう女性が白無垢(むく)姿で乗船することもあったという。近年はマンション建設が進み新住民が増えたことから、こうした地元の歴史を知ってもらい、住民同士の交流を深める狙いで2014年に始まった。

 この日は、川崎市側と東京都大田区側からそれぞれボートを出し、参加者は対岸に到着するまで数分間、乗船を体験。河川敷ではおはやしや大道芸などが盛り上げた。子どもと乗船した同市中原区の会社員女性(44)は「風が気持ち良い。魚が跳びはねていて面白かった」と満喫していた。

 同協議会会長を務める丸子多摩川観光協会の尾木孫三郎会長は「地元の資源や歴史を活用し、地域の融和を図りたい」と話していた。

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