女性が尿検査で覚醒剤反応、バッグにも覚醒剤…無罪 同居する交際男性がバッグに入れ摂取させた疑い残る

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2020年12月、覚醒剤を所持と摂取したとして、覚醒剤取締法違反の罪に問われた女性(43)の判決公判が4日、さいたま地裁で開かれ、一場修子裁判官は「交際男性が覚醒剤を摂取させるなどした可能性が否定できない」として無罪(求刑4年6月)の判決を言い渡した。

 女性は警察官の任意同行に応じ、尿検査と所持品検査を受けた際、覚醒剤の所持と摂取が発覚。女性は「知らない間に交際男性に覚醒剤を入れられた」などと主張していた。

 一場裁判官は判決で、交際男性と女性は、男女関係の問題から度々口論になり、逮捕前も口論になったと説明。2人は同居生活をしていたことなどから、「気付かないうちに男性が女性に覚醒剤を摂取させたり、バッグに入れたりすることは十分に可能で容易」と指摘し、「女性が覚醒剤の使用と所持の認識があったとするには合理的な疑いが残る」とした。

 女性の供述が信用できないなどとした検察側の主張は、「一概に信用性を否定することはできない」と述べた。

 無罪判決を受け、さいたま地検の原山和高次席検事は「判決内容を精査し、適切に対処したい」とコメントした。

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