円安で打撃…広島市のステーキ店が苦渋の決断

円安による物価高騰の影響が広がっています。

9月半ばに取材したアメリカ産牛肉を使うステーキ店では、1ドル145円になると原価が上がるため「無理」と話していました。そしてついに145円ぎりぎりまで円安が進みました。

ステーキ店は苦渋の決断をしたようです。

ボトムステーキ広島八丁堀店。店休日だった4日、店長の丹下利孝さんが語ったのは、円安による経営難の末の決断でした。

「11月末締めぐらいで一応、ボトムステーキ自体は撤収という形になります。悔しいですね自分の力不足が殆どなんでしょうけどずっと可愛がってくれた常連客もいるので申し訳ないという気持ち。」

9月15日の取材では、店の看板メニュー赤身の鉄板ステーキは150グラム1680円。実は、7月に値上げしたばかりでした。

「7月に値上げした分で営業は成り立つんですか?」

「成り立って無いです(仕入れ価格が)どこまで上がるか僕らにもわからないこのままやっても商売はうまくいかない。」

7月に値上げした際のアメリカ産牛肉の仕入れ値は1キロあたり約1800円でした。

9月は1キロあたり2380円。2カ月ほどで、580円も高騰していたのです。

ボトムステーキを取材した9月15日の円相場は、1ドル=143円前後ギリギリの状態でした。

「利益は無い。売れたら売れるだけ赤字最終的に。(円安が進み)144円、145円になるとちょっと無理かな。」

そして4日、円相場は1ドル=144円半ばから 後半へ。丹下さんが店長を務めるステーキ店は、円安の影響により、閉店を余儀なくされたのです。

「飲食業は利益が薄いんです。30%30%30%人件費、材料費、経費。(そのうち)利益は10%しか出ないといわれているんですけど、10%も無いんです。」

「Q、材料費は30%で収まりきれない」

「50%超えています。」

食材の高騰はアメリカ産牛肉だけではありません。油も値上がりしています。さらに、ステーキの付け合わせに使う冷凍野菜までも値上がり。10月からは、酒類も値上げとなり…。

「このまま続けていくのが難しい…ご迷惑をおかけするんですけど、機会があればまた、こういう形でお会いできることを楽しみに頑張っていきたいと思います。本当に感謝の気持ちを伝えるしかないですね。」

ボトムステーキ広島八丁堀店は、11月末ごろに閉店を予定しているそうですが、常連客への感謝の気持ちを込めてステーキの価格は据え置きにするそうです。

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