なぜ長男を秘書官に? 「岸田が読めない」新KYで戸惑い 自民議員も「ひしょひしょ話」

岸田文雄首相(資料写真)

 国会は5日から衆院での代表質問が始まった。前日4日に岸田文雄首相が長男・翔太郎氏を首相秘書官に起用したことを巡り、与党議員の間では戸惑いが、野党間では批判が広がっている。「KY(空気が読めない)人事」とも評される中で「もはや親族しか信頼しないというサインか?」との臆測も飛び交う。

 立憲民主党の泉健太代表からの岸田首相や細田博之議長への厳しい質問が続く中、議場の外では自民議員同士の立ち話があちこちで行われた。そのうちの1人は「ひそひそならぬ『ひしょひしょ話』ですよ」と解説。だれもが首相の本心を測りかねている実情が顕在化した風景だ。

 野党からは「政治の私物化」「時代錯誤」などの批判が相次ぎ、与党と一部で連携する国民民主党の玉木雄一郎代表ですら「身内びいき」と断じた。政権にとって深刻なのは、与党内からも「『岸田が読めない』という新KYの発生だ」(自民の閣僚経験者)などと不信が語られることだ。

 秘書官任命前日の3日、神奈川新聞の取材に応じた菅義偉前首相(衆院神奈川2区)は「危機突破へ向け今は力を合わせる時」として、自身の勉強会の結成先送りを示唆した。「安倍晋三元首相の派閥の分裂誘発など党内政局を避けるためか」との問いを「いやいやー」などとかわし回答を避けたが、岸田首相や党の苦境に配慮したのは明らかだ。

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