【静岡豪雨】「あんな大雨でも生きていた」壊滅的被害受けた江戸時代からの歴史持つワサビ田 復活に向けた一歩

台風15号の被害は農業にも広く及んでいて、静岡市清水区の山あいでは、数百年の歴史を持つワサビ田が壊滅的な被害を受けていました。復旧にはかなりの時間がかかる見込みですが、生産者は再開に向けた活動を続けています。

<和田啓記者>

「ここは一面ワサビ田だったということですが、大量の雨によって押し流されて今は土砂に埋もれて見る影もありません」

静岡市清水区の山あいに広がるワサビ田です。江戸時代から続くという歴史ある生産地ですが、今回の大雨で沢の水が濁流となって襲いました。石垣などが押し流されて壊滅的な状態に、生産者は肩を落とします。

<わさび農家 お茶のやまよ代表 山崎貴正さん>

「ここは奇跡的に残っているけど。これ今から冬に向けて収穫、もう収穫ほんと寸前。今まで一段二段が崩れたりとかは今までの台風でもあったけど、ここまでひどいともう直す気になれない」

山崎さんの窮地に近所の人や同級生が駆け付けました。300mほどにわたって続くワサビ田の中で生き残ったワサビは全体の1割程度。その貴重なワサビを一つ一つ丁寧に収穫します。

<復旧作業の様子>

「あんな大雨でも生きてましたよ。復活するために手伝いに来たんです」

「怖いですね。一個(岩が)とれたら崩れそうな」

足場が悪い中、沢の水の流れを元に戻す作業が行われました。

<復旧作業に参加した人>

「友達なのでやっぱり早く普通の生活に戻れるように」

<わさび農家 山崎貴正さん>

「ほんと涙出てくる。どうやって(恩を)返したらいいか…。ほんとに感謝しかない」

Q.復活を望む声もありましたが・

「できれば…できれば…」

修復には数年、被害額は数百万円にのぼるとみられます。それでも、地域のつながりを支えに地道な復旧活動が続きます。

特産品・ワサビの被害は清水区だけではなく、葵区の安倍川中流域でも被害が確認されています。安倍山葵業組合によりますと、郷島、横山、俵峰や周辺の地域で石垣が崩れるなどの被害が出ています。

安倍山葵業組合は「ここまで被害の規模が大きいのは初めて。段々畑を組み直す職人が今は高齢化でほとんどいなくなり、復旧が難しいところもある」と話しています。

© 静岡放送株式会社