加藤健一事務所公演『夏の盛りの蟬のように』上演

2022年、加藤健一事務所公演のラストは久しぶりの和物、『夏の盛りの蟬のように』上演。『滝沢家の内乱』(2015年)以降、7年ぶりの上演(地方公演除く)。

原作の吉永仁郎(1929年〜2022年)は特に評伝物を得意とする劇作家。
昭和49年(1974年)、劇団東演が「勤皇やくざ瓦版」を上演し、以後は劇団民芸や文学座、俳優座などに多くの戯曲を書き下ろした。2021年『どん底−1947・東京–』(マキシム・ゴーリキー原作/劇団民藝)が最後の作品。
この『夏の盛りの蟬のように』は1990年初演。加藤健一事務所では、今回が初上演となる。
幕府による締め付けが厳しくなる中、絵を描く情熱に燃えた北斎周辺の人々を描いているが、葛飾北斎と渡辺崋山、歌川国芳、この3人が画論を戦わせるが、。この3人が顔を合わせたという記録は、実際には残っていない。“あり得たこと”として、物語は展開していく。

葛飾北斎、代表作は『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』、世界的にも著名な画家。森羅万象を描き、生涯に3万点を超える作品を発表している。シーボルト事件では摘発されそうになったが、川原慶賀が身代わりとなって、難を逃れている。渡辺崋山は、江戸時代後期の武士・画家、1839年に幕府によって罰せられている(蛮社の獄)。歌川国芳は江戸時代末期の浮世絵師。浮世絵の枠にとどまらない広範な魅力を持つ作品を多数生み出した国芳、45歳の時、老中・水野忠邦による天保の改革によって人情本、艶本が取締りによって絶版処分される。理不尽な弾圧を黙って見ていられない江戸っ子国芳は、浮世絵で精一杯の皮肉をぶつけ、何度も奉行所に呼び出され、罰金を取られたり、始末書を書かされたりしたが、禁令の網をかいくぐりながら、幕府を風刺した。

出演は加藤健一をはじめ、新井康弘、加藤忍、岩崎正寛(演劇集団 円)、 加藤義宗、日和佐美香。

物語
日本を代表する浮世絵界の巨匠、葛飾北斎。
北斎の弟子の中では筆頭にあげられた蹄斎北馬。
武士でありながら肖像画を描いて日本一と言われた渡辺崋山。 遅咲きながら武者絵や戯画など独創的な浮世絵を生み出した歌川国芳。 そして、晩年まで父・北斎の画業を助け、北斎の画才を受け継ぎ一目置かれる絵師となったおえい(葛飾応為)。 舞台はこの絵師たちが己の絵の道に葛藤し活躍した文化13年(1816年)から安政5年(1858年)。 それぞれが生き様や志を絵にぶつけ北斎に立ち向かうも、いくつになっても頂点であり続けようと向上心むき出しの“化け物”に打ちのめされ、己の不甲斐なさに怒り悲しみ、そしてそれを活力にまた筆をとる。 変化する時代の波に翻弄されながら、家柄や流派を超えて切磋琢磨し、世の中を相手に絵師として熱く議論を戦わせる江戸の者たち。
暑く眩しい季節に忙しなく聞こえてくる、あの夏の盛りの蟬のように。

概要
日程・会場:2022年12月7日(水)~12月18日(日) 本多劇場
作:吉永仁郎
演出:黒岩 亮
出演
加藤健一
新井康弘
加藤 忍 岩崎正寛(演劇集団 円) 加藤義宗 日和佐美香
公式サイト:http://katoken.la.coocan.jp/

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