『島の新聞屋さん』が地域貢献大賞 日本新聞協会 長崎新聞青方販売センターに

大賞受賞を喜ぶ芳賀さん夫妻(前列)と前所長のマサノさん=新上五島町内

 日本新聞協会は5日、新聞販売所の地域活動をたたえる「地域貢献大賞」に、長崎新聞青方販売センター(芳賀良介所長、新上五島町青方郷)の「地域に密着した『島の新聞屋さん』」を選んだ。
 芳賀良介さん、佳美さん夫妻が高知県から新上五島町に移り住んだのは2010年の夏だった。当時は佳美さんの両親が店を経営していたが、所長を務めていた父、法村嘉昭さんがその年の11月に73歳で急死。あまりに突然のことで、母マサノさん(81)を代表に夫婦2人で店を背負う覚悟を決めた。
 兵庫県出身でサーフィンが趣味の良介さんにとって初めての仕事。土地勘がなく、方言も分からなかったが、祭りや行事、消防団活動などに積極的に参加することで知り合いを増やし、少しずつ地域に溶け込んでいった。
 3年後の13年、高齢となったマサノさんに代わって良介さんが所長に就任した。高齢化・過疎化が進む島を少しでも活気づけたいとミニコミ紙「島の新聞屋さん」の発行を開始。地域の明るい話題が詰まった内容が評判を呼び、「もう少しほしい」「よそに住む家族に送りたい」と、住民が訪ねてくるほどになった。
 佳美さんが力を入れる古新聞を使ったエコバッグ作りはデザインに工夫を凝らし、地元のイベントにも提供している。
 来年で所長就任10年となる良介さんは「新聞販売店業務をつらいと思ったことは一度もない。むしろ配達中に声をかけてもらうのが楽しみ」と充実の表情。夫妻の活動を「地域貢献大賞」に推薦した地元の高齢者向けサロン「よらんかな会」代表、谷村静子さん(74)は「今回の受賞をみんな喜んでいる。明るいニュースに元気をもらい、長生きできそう」と笑顔で語った。


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