RENEW開幕、ものづくりの工房一斉開放 10月9日まで、大日本市鯖江博覧会も同時開催

越前焼の作陶体験を楽しむ参加者=10月7日、福井県越前町平等の豊彩窯

 福井県の鯖江市、越前市、越前町のものづくり産地を巡る産業観光イベント「RENEW(リニュー)」が10月7日開幕した。越前漆器、越前焼、繊維、眼鏡、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥(たんす)の七つの地場産業が工房などを一斉に開放。県内外から多くの若者らが訪れ、職人と交流しながら買い物を満喫した。9日まで。

 RENEWは2015年に始まり、8回目の開催。過去最多の101社が参加している。初参加の越前漆器製造販売の丸山久右衛門商店(鯖江市河和田町)は、木椀(もくわん)に仕上げの「上塗り」を施すワークショップを開催。東京から訪れた会社員(22)は緊張した面持ちで作業に没頭。「均一に塗るのは難しく、職人技に改めて驚かされた」と話した。

 越前焼の豊彩窯(越前町平等)は、ガス窯を備えた板張りの陶房を開放。息子と一緒に朝一番で訪れた女性(55)=同町=は「陶房って、もっと雑然としているのかと思ったけど明るくてきれい」。職人の吉田雄貴さん(29)の手ほどきを受け、電動ろくろですっきりとした形の湯飲みを仕上げた。

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 繊維では、細幅織物製造の井上リボン工業(本社越前市千原町)が、創業以来70年以上稼働する織工場を案内。見学に訪れた30代女性はバッタンと音を立てる織機と無数の糸に「圧倒された」と目を丸くした。

 総合案内の鯖江市うるしの里会館近くの複合施設PARKでは、工芸の企画製造販売を手掛ける中川政七商店(奈良市)による「大日本市鯖江博覧会」も開かれ、全国各地の工芸品や生活雑貨が一堂に並んだ。

 イベントの規模拡大に伴い今年7月、実行委員会を法人化し一般社団法人SOEを設立。RENEWを通年で楽しめる観光コンテンツに発展させていきたい考えで、内田徹代表理事=漆琳堂社長=は「人が人を呼び、年々ファンが増えてきた。産業観光を産地の新しい軸に育てたい」と手応えを示した。

デジタル商品券「RENEWPay」好評

 7日開幕したRENEWで、プレミアム付き電子商品券「RENEWPay(リニューペイ)」の利用が始まった。1口5千円で6千円分の買い物や体験ができ、決済の手軽さもあって、販売ブースには多くの若者らが訪れた。

 福井新聞社と福井銀行の共同出資会社ふくいのデジタル(本社福井市)が提供。工房や店舗に置かれたQRコードを、スマートフォンアプリ「ふくアプリ」で読み取って決済する。

 9日までの期間中、鯖江市うるしの里会館、JR鯖江駅(鯖江市)、観光・匠の技案内所(越前市)の3カ所で販売。一部店舗ではRENEW終了後も買い物に利用できる。

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