<金口木舌>一皿のために

 まだまだクーラーが欠かせない沖縄でも次第に日が短くなり、季節の移ろいが感じられるようになった。スーパーに行けば、秋の味覚も並ぶ

▼「サンマをつまみに一杯」。そう言いたいところだが、財布のひもは固い。食料品の値上げは10月がピーク。家庭用ビール類も約14年ぶりに値上げされた。食卓でも一品、一皿減らすしかないのか。頭を悩ませる

▼物価上昇と同時に賃金も上がるなら、負担もある程度は緩和されるだろう。だが、実態は異なる。厚労省によると、物価変動を考慮した8月の実質賃金は5カ月連続で減少した。賃金上昇は追いついていない

▼3日、臨時国会が召集された。岸田文雄首相は所信表明演説で「物価高から、国民生活と事業活動を守り抜く」と強調した。賃上げも物価上昇に見合うように実現すると打ち出した

▼止まらぬ物価高騰で、食卓は一皿減り、満足に食べられない人もいるだろう。一日も早い対策が求められる。最近は決断力、判断力が疑問視される岸田首相がどう対応するか。目を皿にして注視するしかない。

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