31年間ありがとう 五島市立図書館が閉館 式典で市民がお別れ

閉館セレモニーで記念撮影する参加者=五島市池田町、市立図書館

 長崎県五島市池田町の市立図書館で9月30日、閉館セレモニーがあり、市民が31年間の思い出が詰まった建物に別れを告げた。新市立図書館は来年4月、同市木場町の旧五島中央病院跡地にオープンする予定。
 旧福江市時代の1991年1月開館。城の天守閣をイメージして59年に建てられた宿泊施設「翠仙閣」を旧市が購入、増改築した。
 蔵書約15万冊の貸し出し業務のほか、読み聞かせ会やクリスマス会なども開催。31年間の貸出人数は延べ111万2934人、貸出冊数は417万1263冊。建物が老朽化し、手狭になったため、市が移転を計画。現在、建設が進んでいる。
 セレモニーでは、村上富憲教育長が市図書館友の会、五島むかしばなしを楽しむ会、おはなしもこもこ、子どもの本ネットワーク協議会五島っ子のボランティア4団体に感謝状を贈呈。閉館時間の午後6時、地元の社会人バンドが「蛍の光」を演奏する中、スタッフが涙を流しながら来館者を見送った。
 おはなしもこもこの市川和枝代表(59)=同市大荒町=は「開館後から子どもの手を引いてよく通った。24年前から読み聞かせを始め、人としても成長させてくれた。人生を一緒に歩んだ図書館だった」と振り返った。

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