<金口木舌>手書きでつづるメッセージ

 記事に電話番号を盛り込む際に記載する黒電話のマークが本紙から消えた。携帯電話やプッシュ式の電話が普及して、最近はダイヤル式の黒電話を見かけない。マークは時代に合わなくなった

▼手元のスマートフォンやパソコンに目を向けると、電子メールは封筒のマークで表現される。メッセージを封筒に入れて送付する作業は今も昔も変わらない。しばらくは封筒の絵柄が消えることはないだろう

▼仕事で毎日のようにメールを送受信しながら、最近は手紙を書いていないことに気付く。無料通信アプリやSNSを使うようになって、手書きの文章を郵送する機会は減少した

▼手紙はメールなどに比べて手間も時間もかかる。ただ、一つ一つの文字に思いを込めて仕上げた手紙は個性にあふれ、人のぬくもりを感じる。じっくりと手紙を書く時間と心の余裕は、いつの時代も必要だ

▼9日は世界郵便の日。遠く離れた異国にいる相手にも手紙は届く。ペンを片手に文章をつづれば、メールでは表現できない思いや感情なども伝えられるはずだ。

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