長崎県内観光、膨らむ期待 11日から全国旅行支援 新幹線、朝ドラ「追い風」

「ながさきで心呼吸の旅キャンペーン」の対応マニュアルを確認する今井支配人=長崎市、ホテル長崎

 全国旅行支援「ながさきで心呼吸の旅キャンペーン」が11日から長崎県内でスタートする。全国規模の観光支援は「Go To トラベル」が停止した2020年12月以来。県内の新型コロナウイルス感染状況が一定落ち着き、観光業界では期待が膨らむ。西九州新幹線の開業や五島列島を舞台とするテレビドラマ放映も重なり、相乗効果を当て込む。
 長崎市立山2丁目のホテル長崎。今井義謙支配人は7日、県から届いたマニュアルに目を通し、宿泊客に記入してもらう書類やクーポン券の配布方法を確認した。「内容は県民割とほとんど同じ。利用対象の全国拡大は業界の悲願だった。県全体が盛り上がるとうれしい」と語る。
 売り上げが9割近く減った時期もある。レストランの席数を減らしたり、テレワーク活用プランを打ち出したりと模索を続けた。ここ数週間は、平日の修学旅行を中心に客足が着実に戻ってきたが「利益率はコロナ前の7割ほど」という。
 「心呼吸の旅」の概要が発表された5日以降は、問い合わせの電話がひっきりなしに鳴る。「平日でこの状況だから、この3連休中にどんどん予約が埋まりそうだ」と声を弾ませる。
 県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事によると、11日以降の宿泊予約数は県全体で伸びている。「新幹線開業で全国的に注目度が高まっている。この時期での全国旅行支援は追い風だ」と話す。
 県内離島の旅行パック商品「しま旅」の販売対象も全国に拡大される。JR長崎駅の土産品店「すみや」では、五島列島の関連商品を厚めに展開。販売促進担当の貞住史華さんは、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」の舞台の一つが五島という要素も踏まえ「離島がトレンドになる」と予測する。離島の企業から商品取り扱いの相談も入り、盛り上がりを感じている。
 五島市で和風レストランを営む望月政一郎さんは「全国から来てもらうチャンス」と意気込む。
 同店もコロナ禍で売り上げが5割以上落ち込んだ。市飲食店組合長を務め、同業者の苦境を多く耳にした。例年は観光客でにぎわう夏場も人出はなく「不気味なくらいだった」と振り返る。
 それだけに全国旅行支援への期待値は高い。既に県外から予約や問い合わせが増えている。「おもてなしの心を大切に、五島のリピーターになってもらう機会にしたい」と前を見据える。


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