ひとりぼっちじゃない…子ども食堂の交流を絵本に 福井県あわら市で運営の「えんまん」拠点改修も

テンプル食堂よしざきを運営する「えんまん」が手がける絵本「ほんとにほんと」の一場面
子どもたちの新たな居場所にと築50年以上の古民家を改修して新しくなったキッチン=福井県あわら市吉崎2丁目

 福井県あわら市の吉崎西別院で子ども食堂「テンプル食堂よしざき」を運営する一般社団法人「えんまん」が、2年余りの子どもたちとの交流をモチーフに「ひとりぼっちなんかじゃない」との思いを込めた絵本づくりを進めている。その制作費と合わせ、吉崎地区内に、古民家を再生して9月末にオープンした常設の子ども食堂の継続した改修費を、福井県のふるさと納税型クラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。寄付は10月末まで。

 テンプル食堂は、僧侶の八幡真衣さん(29)=石川県小松市=が中心となり2020年から月1回開かれ、毎回約400人が訪れる。小松市のほか沖縄県にも開設。京都や金沢にも広げる計画で、7月には八幡さんが代表理事となって一般社団法人化した。

 絵本の題名は「ほんとにほんと」。絵本のモチーフとなるのは、食堂を訪れた少女が感じるたくさんの「ありがとう」。「直接会うことができない人の支援があることを、子どもたちに伝えたい。みんなを絵本でつなぎ、ありがとうと思う心を育みたい」との八幡さんの気持ちをストーリー化。テンプル食堂幹事の福井県坂井市三国町の受恩寺住職・長尾祐二さんが文字とイラストで表現した。

 長尾さんは、優しいタッチで、手のひらに収まる器の中に笑顔が詰まっている場面などのイラストを描き、文章を添えた。既にデータ化され、印刷を待つ状態。

 絵本について八幡さんは「絵本の世界は、テンプル食堂のすべて。さみしい気持ちの子どもたち、子育てに孤独を感じるお母さんらに、居場所はここにあると感じてもらえたら」と話す。

 一方、八幡さんらは地元住民やボランティアの協力を得て、西別院近くの古民家を再生し9月末に常設の子ども食堂を開業させた。築50年超、30年ほど空き家だった古民家を改修、大広間に字が書ける壁を設けたり、キッチンをリフォーム、休憩スペースもつくった。開設は午後2時~同7時。食事や学習の場だけでなく、今回出来上がる絵本の読み聞かせも行う。

 CFの目標額は200万円。絵本500冊の制作資金に75万円を充てる。古民家は傷みが激しく、残金は外周や水回りなどの改修費とする。寄付は「レディーフォー」で検索できる。

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