ターゲットは海外の富裕層、福井の工房巡り計画 和紙や眼鏡、漆器…11月モニターツアー

2021年11月に行った1回目のモニターツアー。外国人が和紙工房などを見学し、ツアー内容を検討した=福井県越前市

 福井県内企業の海外販路開拓支援など行うクラフトパートナーズ(本社福井県福井市町屋3丁目、吉川健彦社長)が、和紙や眼鏡、漆器などの丹南地域の工房を巡る海外富裕層向けツアーを計画している。産地の歴史や技術を実際に見てもらうことで商品価値を認識してもらい、販路拡大につなげる狙い。ツアーは来年度に1回目、その後は年に複数回実施する計画で、ツアー内容のブラッシュアップに向け11月に外国人を招きモニターツアーを実施する。

 吉川社長はアジアや欧米で県内伝統工芸品などの販路拡大を図る中で、商品が持つストーリーや価値を伝えるには産地で職人らと触れ合い、技術を見てもらう必要性を実感。そこで、経済力があり文化的意識も高い海外富裕層を対象としたツアー開催を決めた。昨年11月に国内在住の外国人を対象に1回目のモニターツアーを実施し、ツアー本番の内容を検討した。

 ツアーでは越前和紙の杉原商店(越前市)、眼鏡のボストンクラブ(鯖江市)、越前漆器の土直漆器(同)、日本酒の加藤吉平商店(同)を訪れ、各社の社長が案内人として産地の歴史や伝統技術などを紹介。越前和紙職人で人間国宝の岩野市兵衛さんの手すきを見たり、眼鏡デザイナーと懇談したりするほか、日本酒試飲も盛り込む。養浩館庭園(福井市)を貸し切っての日本舞踊鑑賞、県内観光スポット巡りなども検討している。ツアー定員は5~10人で、旅行会社と連携し実施する予定。

 ツアー内容はまだ検討部分があるため、11月下旬に国内で会社を経営する外国人を招き、再度モニターツアーを行う。海外富裕層が楽しめるツアーとなるよう改善意見を求める。

 モニターツアーの資金は福井県のふるさと納税型クラウドファンディング(CF)で募集。寄付はCFサイト「レディーフォー」から。目標は100万円で期間は10月31日まで。寄付額のうち2千円を除く金額が税控除の対象となるため、自己負担2千円でプロジェクトの後押しができる。所得に応じて控除額に上限がある。返礼品は来年3月に和紙や眼鏡、漆器の工房を巡る日帰りツアーへの参加のほか、県外寄付者には眼鏡枠や日本酒、越前和紙メモ帳などを用意した。

 吉川社長は「新型コロナの感染者数が減少しており、ツアーを通して多くの外国人に福井のものづくりの良さを伝え、誘客や販路拡大、産地活性化につなげていきたい」と意気込んでいる。

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