【新日本】大張高己社長インタビュー<第2弾>スターダム合同興行、約3年ぶりのイギリス大会、50周年イヤー集大成の1.4ドーム、そして亡き猪木さんへの思いを語る

新日本プロレスは2022年団体設立50周年を迎え、様々な仕掛けを実施し、早くも4分の3の日数が過ぎた。

プロレスTODAYでは新日本プロレスの大張高己社長に50周年イヤーについて今年2回目の独占インタビューを実施。

今回はAEWとの合同興行、G1 CLIMAX32の振り返り、シンニチイズムの地方展開、9月の声出し大会、スターダムとの合同興行、約3年ぶりのイギリス大会、50周年の集大成となる来年の1.4東京ドーム、そして10月1日に逝去されたアントニオ猪木さんに対する想いについて多岐に渡り語ってもらった。

今回はインタビュー第2弾を掲載。

【新日本】大張高己社長インタビュー<第1弾>AEWとの禁断の扉、全選手が完走した『G1』、感謝のシンニチイズム、涙の9月声出し大会の裏側を明かす!

①11月20日(日)有明アリーナ『Historic X-over~新日本プロレス×STARDOM合同興行~』開催について

©新日本プロレス

Historic X-over
日時:2022年11月20日(日) 15:30開場 17:00開始
会場:東京・有明アリーナ
大会情報:

<既報カード>

◆タッグマッチ
トム・ローラー&朱里
vs
ザック・セイバーJr.&ジュリア

◆タッグマッチ
棚橋弘至&林下詩美
vs
後藤洋央紀&舞華

◆8人タッグマッチ
タイチ&金丸義信&中野たむ&なつぽい
vs
エル・デスペラード&DOUKI&スターライト・キッド&渡辺桃

◆IWGP女子初代王者決定戦
(岩谷麻優vs渡辺桃の勝者)vs(林下詩美vsひめかの勝者)の勝者
vs
KAIRIvsアルファ・フィーメル(ジャジー・ガーベルト)の勝者

ー-11月20日(日)、有明アリーナで開催する『Historic X-over~新日本プロレス×STARDOM合同興行~』についてお話をお願いします。

「来月に迫りましたね。これも50周年のドリームマッチの一つだと思います。ブシロード15周年が今回のテーマなんですけど、まだ一部カードしか決定していないんですよね。ミックスドマッチとIWGP女子のみ発表ということで。」

――この試合が決まったという部分では、木谷オーナーが非常に今回気合を入れたメッセージを出しておられますけれども、大張社長としてはいかがでしょうか?

©新日本プロレス

「もちろんこれらの試合は楽しみでしょうがないんですけど、これらの試合以外にももちろんいろんな試合が組まれていくと思います。今まで新日本プロレスと女子の選手が同じリングに立つってそんなになかったじゃないですか。蝶野(正洋)さんとジョニー・ローラー。あれはショッキングでしたけど、昔からの女子と関わる、女子をリングに上げるというのは、言ってみれば偏見と言うか、そういう考え方はもう環境として変わってきていると思うんですよ。

猪木さんが立ち上げた新日本プロレスはそれこそ50年間、偏見との闘いだったんです。誰でも偏見をもってものを見るし、見られている。ただ偏見との闘いは忘れてはいけないと思います。世の中を見返してやるエネルギーです。それに、スターダムを筆頭として、彼女たちの頑張りで女子プロレスが見直されていると思うんですよね。このネーミングは、実はヒストリックは木谷から出てきて、クロスオーバーは私が考えたんですけど、最初は運命のクロスオーバーにしようかなと思っていたんですが、やはり必然的な交流なんですよね。

もちろんこれ、交流戦だけじゃない、ミックスドマッチだけじゃないんだけど、すごく象徴的なカードが今並んでいて、IWGPのあとに女子という言葉がつくというね。新しいことに常に挑戦するから僕は新日本プロレスだと思うし、ダメだったらやめたらいいじゃない、っていう話だと思うんですね。ここは新しい挑戦の象徴でもあるし、一つ一つのカードの意味がすごく深いと思います。より1試合1試合の意味が強く深い。全てが歴史に名を残す、記憶も記録も残すような試合になると思いますし、ここに出てきている4試合、それ以外にもカードは組まれると思います。」

――そうですね。確か全9試合ですね。

「それぐらいになるかなと思います、見どころやテーマは今後間違いなく増えてきます。増えてくるので、チケットを今のうちに買っておいたほうがいいと思います。最前列は実際売り切れましたし、2列目、3列目、ロイヤルシートも残りわずかになっていますから、これは早めに、全容が見える前に買っておいたほうがいいかもしれないですよ。」

――既に選手間でもSNS上でも情報発信だとか、これに対する並々ならぬ意気込みも皆さん各々語られていると思うんですけど、私たちなんかは、今までは例えば北朝鮮で全日本女子プロレスの人たちが参戦して試合をわかせて、新日本プロレスでも東京ドームの第0であったり、通常のラインナップとして試合に入ったりすることはあったと思うんですけど、ミックスドマッチというところが今回本当に新しいチャレンジだなと思っています。

先ほどの偏見の言葉という言葉があったと思いますが、昔気質のプロレスファンというのはあまり女子を受け入れる素地がなかったのかなと、今は逆にスターダムの躍進がすごいなという部分があって、新日本プロレスのマットに上がってから格段にファンも増えてきているなと思います。だからこそ、このミックスドマッチを含めた戦いで大きく飛躍する選手がまた出てくるんじゃないかと思うんですよね。大張社長としてスターダムで推したい選手と言うと語弊があるかもしれないですけど、あえて言うとどの選手に注目していますか?

「いやぁ、立場的に言いづらいなぁ(笑)個人的には私はひめか選手やレディ・C選手推しなんですよね。私もこれまで人より背が高いことによる偏見も期待も色々とありまして、共感する部分があります。あとイギリスで見たアルファ・フィーメル選手もすごかったし、WWEで名を馳せたカイリ選手もドーム映えするのでは、という。あくまでも個人的なものですけど。」

――いろんなワクワク感が止まらないんですね。

「はい。最初にドームに上がってもらったじゃないですか。実はドームに上がってもらうときに大変だったんです。資料を作って、いろんなところにお願いしたんです。入退場はこうやって、リングアナはこうやって、レフェリーはこうやってやるので、東京ドームの第0試合で戦わせてくれ、ってお願いしに行ったんです。そのときって、海の物とも山の物とも、分からない状態じゃないですか。知名度だって多分10分の1とかですよ。集客力とか見ても分かると思うんですけど。そこから私はずっと見てきていて、そこをスタートに見てきているから、今の飛躍はものすごくうれしいし、私は新日本プロレスの社長でもあるけど、ブシロードのスポーツ&ヘルスケアのユニット長でもあって、その中には新日本とスターダムとブシロードウェルビーという三つの兄弟会社があって、私にとってとても大事な3社なんですけど、スターダムが飛躍してきてくれたことが偏見を打ち破る一番のキーだったなと思いますね。

女子なんて、ってみんな思っていたかもしれないけど、見てみたら分かるって、っていう。もちろん体力的な違いはあるんだけど、それは男性の選手の中にもあるわけじゃないですか。だから、その違いというのを良さに変えるという。まさに今世の中でダイバーシティが叫ばれていますけど、興行、大会、戦いというのを、男性も女性もいるかたちで良さに変えて、今までになかった種類の良さを出すことへの挑戦なんです。そこにチャレンジを今までしなかっただけで、海外ではこういう蓋は既にいろんな団体が開けていますよ。新日本とスターダム、日本のトップで、女子で言うとスターダムは世界一です。組んだらどんなレベルのものができるのかって、楽しみで仕方がないです。」

©STARDOM

――僕もすごくワクワクしています。それとプラスアルファで、今回IWGP女子初代王者決定戦に関しては、結構ファンの方からもこれについての賛否という部分でもあったかなと思うんですけど、先程の挑戦と言う言葉が一番自分的には納得できる部分ではあるのかなと思うんですけど、改めてこのIWGP女子初代王者に関しては、ご苦労も非常に多いんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか?

「これ実は3年ぐらい前に話があったんです。」

――そんな前からこの話はあったんですか。

「コロナに入る前からIWGP女子構想はあったんです。でもそのときはさっきの話と違って、お客さんの反応的には想像できますよね。ドームに上がる前の苦労の話はさっきしましたけど、そういう世間の偏見、常識と戦わなきゃいけなかった。それを今の何倍にも浴びることになるし、面白いチャレンジだけど、まだだなと判断したんです。決してNGではなく、まだだなと。それで、結果これができているということは、IWGPという名前に手が届く所までスターダムの選手はきているということだと思います。」

――なるほど腹落ちしました。3年かけてここにきたということですね。

「グループ入りしたあとだったかと思います。そのときから話はあったんです。1回はっきり断っています。」

――そうなんですね。今のスターダムであればIWGPを名乗ってもおかしくない選手たちが揃っているという認識になったんですね。

©STARDOM

「あとはこの戦いがどうかですよね。お客さんの審判はここからですよ。IWGP女子に反対って、私は偏見だと思います。ただ、IWGPを争う闘いとして、もしこの試合が大したことなかったら、それは不合格だとお客さんは言うと思います。それこそが偏見のない公正なジャッジだと思います。この試合は面白くなかったからIWGPに相応しくない。この試合は面白かった。さすがIWGPだ。女子だから、男子だから、じゃなくて、それで見てほしい試合ですね、これは。人口の半分は女性です。私にも2人の娘がいます。男女の別だけで判断されたくはないですよね。」

――これは早めにチケット買っておいたほうがよさそうですね。

「そう思いますよ。私はそんな予感がします。」

――歴史に残る大会になりそうです。

「はい。これは全カードが出る前にチケットを買ったほうがいいし、試合に行くかどうか迷う人は、絶対に行ったほうがいいですよ。もう一度言いますが、絶対に現地に行ったほうがいいです。」

――ありがとうございます。

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②イギリス大会(ROYAL QUEST Ⅱ)について現地での反響は?
日時:2022年10月1日 (土) 〜 2022年10月2日(日)
会場:イギリス・Crystal Palace National Sports Centre(ロンドン)
観衆:2,137人(札止め)

©新日本プロレス

ー-次はつい先日開催されたイギリス大会(ROYAL QUEST Ⅱ)についてですが、実際現地に行って、終わってみての感想はいかがですか?

「私は初めてのヨーロッパだったんです。で、英語が通じてよかったなと。普通に生活は困らなかったんですけど。ここで猪木さんの話していいですかね?」

――はい。

「私たちがホテルに着いたのが8時ぐらいで、時差もあったのか、ちょっとうつらうつらしていた深夜ですね。連絡が来て、猪木さんが亡くなったと。行く前から少し状況が良くないというのは聞いていて、ついに亡くなってしまったということで、喪失感で返信もできなかったです。ただふと思ったのは、あれ、みんなここにいるな、と思ったんです。私も、菅林会長も、木谷オーナーもイギリスにいたんです。選手もある程度いてくれて、亡くなったという話があったとき、日本で両国大会で10カウントかなとみんな言っている中で私は、いや、ここでやろう、ロンドンでやってくれとお願いして、手配してもらって、そうしたらありがたいことに、テレビ朝日さんのロンドン支局の方が動いてくれて取材にも来てくださったんです。」

――そうなんですか。

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

「そう。だから映像、残ってたじゃないですか。あれって現地の私たちの試合用のカメラじゃないんです。テレビ朝日さんのカメラなんです。ロンドン支局から来て撮ってくれたんです。あと10カウントって、どうやら向こうでは習慣がないんですって。ただスタッフが早く行って、リングアナウンサーとかにレクチャーしてくれてやれることになったんですけど、これなぜ私はやろうと思ったかというと、カール・ゴッチさんの鍛錬した蛇の穴は確かイギリスだし、ファンの頃に猪木さんの試合を見に行く度に、猪木さんって要所って出てきて挨拶するじゃないですか。必ず猪木さんが、今年は新日本プロレスが世界に羽ばたく年になると思います、って毎年言っていたんですよ。猪木さんって、お父さんにだったかな?日本一、いや世界一になれ、って言われて育った人なんですよね。ボーダレスなんですよね。ずっと世界的な視野で物事を見てきた人だと思っています。」

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

「それで、猪木さんの訃報、10カウント、これが我々の手でイギリスで行われるというのは、すごく猪木さんとしても、新日本プロレスとしても象徴的なことなんじゃないかなと。変な言い方をしますけど、面子を見ても、導かれてきたような感じがしました。私だけが日本にいるとかではなくて、オーナーまで揃って行っていたんです。実は今月中に猪木さんに会いに行く予定だったんです。ずっと計画と準備をしていて、最短で様々な段取りが完了した9月に終身名誉会長になっていただいて、10月に発表する予定でしたが、それが叶わなかった反面、お前たち、イギリス行ってこいよ、って言われたような気がしたんです。それで10カウントを叩いたら、イギリスでは習慣がないせいか、ファンの皆さんが拍手しながら徐々に立ち上がって、私はお客さんの真正面で見ていたんですけど、拍手が起きて、歓声が起きて、猪木コールが起きて、これは猪木さん主演の映画のエンディングシーンみたいだな、って思ったら、自然と涙がこぼれました。私だけ泣いてると思って振り向いたら、オカダ選手と棚橋選手も泣いていましたね。」

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

――みんな、感極まったんでしょうね。

「外国人の方々がいる映像って、カンヌ映画祭じゃないけど、映画みたいなんですよ。これが猪木さんの最後か、っていう。日本も素晴らしいんだけど、それがイギリスで行われるという状況も含めて、悲しさと共に、すごく感動したんです。それで試合が始まっていくわけです。」

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――猪木さんの訃報についてはファン、関係者、レスラーの皆さんも、すごく深く思うところがあったと思います。皆さんが異国の地で訃報を聞いたというのも何かの御縁だったのかも分からないというところが、今の話ですごく感銘を受けました。実際そこから試合が始まってやっていくわけですけれども、イギリス大会のお客さんも非常に盛り上がったと思います。

「3年ぶりですからね。異常な雰囲気ですよ。アメリカでも感じるんだけど、ライブに対する欲求が溜まりに溜まっているし、新日本プロレスが3年ぶりというのもあるし、NXT UKって今もう解散しているんですもんね。」

――そうですね。

「やっぱりプロレスに対する欲求って、キャッチレスリングやランカシャースタイル発祥の国ですから、お客さんとしてはプロレスを見たかったけど見れなかったというのが爆発している大会でしたね。」

――実感して鳥肌が立つぐらい。

「立ちますよ、ああいうのを見ると。」

――しかも今回は内藤対ザックというのもありましたし、本当に点が全部線につながって、世界を超えてもきちんと線になっているというのが面白い動きだなと思いました。

「日本の選手に対する期待と人気はすごかったです。もっとホーム感、アウェイ感が出るかなと思ったんです。たとえばオーカーンはイギリスでやっていたことがあって地の利があるんだけど、オスプレイ、ザックばっかりが人気で、もうちょっとみんな冷静に日本のプロレスを見るのかなと思ったら、ドッカンドッカンでした。」

――みんながもう情報を知っているということですかね。

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

「オカダ、棚橋、みんなドッカンドッカンで。最初のゲイブ(ゲイブリエル・キッド)の入場でもわいているし。ゲイブも地元ですから、全選手、全試合メインイベントみたいなわき方でしたね。」

――やっぱり飢えていたんでしょうね。新日本プロレスを。

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

「あと応援の仕方をみんな試しながらやっていました。みんなで実験的に、これウケたからもう1回やってみようとか、手に取るようにわかりました。2,200人って、大田区(総合体育館)ってフルで入れて4,000とかですよね。あれを半分にしている状態で、半分入れた状態が二千何百人で、あの感じなんですよ。だから大体表情とか見えるんですね。見ていると、みんなビールとか飲みながら、もちろんマスクなんかしないです。あっちは歌を歌ったりするじゃないですか。それをやってみたり、日本式もやってみたり、一番はまりそうなものがどれかって探していたり。ただ、グレート-O-カーンのときはちゃんと、グレート-O-カーン、って。あのままでしたね。」

――歌があるんですよね。

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

「初日はメイン、セミ、オスプレイ、海野。海野選手は負けてしまったんですけど、終わってもずっとオスプレイ選手を睨みつけていて。試合中の躍動感もすごいし、体も別人でしたね。生で久しぶりに見たんですけど、起伏がすごい。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んで、脂肪はほとんどないと思いますね。」

――海野選手は僕ら的にはある意味、今日本に帰ってきてほしい選手かなという気がしているんですよね。

「なんとお父さんがレフェリーとして裁くという。」

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――そうですね。でもやっぱり親子鷹じゃないですけど、海野選手に関しては棚橋選手とスタイルも似ている部分あるし、全然違うところもあるし。

「私はちょっと違うものをもう感じていますね。気性の荒さっていうか。棚橋選手って優しい感じしないですか?本当に優しくて明るいエース。海野選手は尖っているんです。」

――荒々しいですよね。

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「すごく荒々しい、という感じは戦いを通じて伝わりました。目つきもそうだし、負けても引き下がらないという感じがして、見た目は似ているんだけど全然中身は違うなと。棚橋選手には悪いけど、現時点の体つきは、もしかしたら海野選手が勝っているかもしれない。」

――でもまた棚橋選手は1.4までに仕上げてきますよ。

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「仕上げてくるでしょうね。あとメインがオージー・オープンとFTRですね。FTRはすごかった。オージー・オープンもでかくて、あの試合は本当に早く皆さんに見てもらいたいですね。」

――やっぱり大型選手の活躍というのはプロレスの醍醐味としても非常に見栄えがするものだと思います。

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「すごかった。FTRはAEWにいたときにちょっと見たぐらいですけど、そのときの印象の10倍も違いますね。あの試合はすごいですよ。オージー・オープンも体を生かしていて、あと彼らは飛べたりするし、しっかり経験を積んでいる選手で、ストロングのチャンピオンなんですよ。実力もあるし、拮抗しててすごく面白い試合だったんです。結果は皆さんご存知でしょうけど、FTRが勝つわけですけど、中身を見てください。めちゃくちゃ興奮しました。絶対に映像を見ても興奮する。すごいメインでした。」

――ぜひ見たいと思います。2日目に関してはいかがですか?

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「IWGP女子がトーナメント開幕しているんですよね。で、アバ・ホワイトとアルファ・フィーメル(ジャジー・ガーベルト)、どっちもでかい。私と変わらない位、身長があったと思います。185(cm)ぐらいあったんじゃないかな?たまたまホテルが一緒で、絶対レスラーだなって誰もが分かるぐらいで。試合展開もアルファ・フィーメルのほうが圧倒していましたね、見た目もすごいんだけどパワーがあるし、日本のリングにも慣れているし、圧勝してました。」

――1ランク選手がずば抜けているのかなというのもありますね。

「次はカイリ選手とやるんですよね、危ないですよ。これ勝つの難しいですよ。」

――そうですね。体格だけで言うと圧倒的に差がありますから。

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「20センチぐらい違いあるでしょ。体重も30キロぐらい違うんじゃないですか?」

――そうですね。カイリ選手にとっては大型選手との戦いで苦戦するとは思いますけど、でも非常に楽しみです。

「そうですね。どっちが上がってきてもおかしくない感じだな。あとギデオンが日本ではかわいいキャラなんですけど、イギリスだと完全に悪いやつですよね。」

――参戦するマットによってキャラクターが変わるという部分は、選手の見方としても面白い見方ですよね。

「かわいいキャラで、私もよくリツイートとかして応援していたんだけど、向こうでリングの振る舞いを見て応援をやめようかなと。」

――そのぐらい変わっていたということなんですね(笑)

「あれが本心なのかな?本質なのかな?と思って(笑)でもああいう面も見れて面白かったです。オーカーンは、やっぱりイギリスで人気がすごいですね。コロナ禍になって2年は戻ってなかったんじゃないですか?だけどオーカーンのことはみんな覚えているし。あと途中で辻選手が出てきたでしょ。1日目の途中で辻選手が出てきて何事かと思ったら、翌日石井選手とシングルでやっていたけど、辻選手もすごかったです。」

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――やっぱり変わっていますね。

「あの体でとんでもない飛び技をかけたんですよ。前々から知っていたのは、シューティングスタープレスを打てるんです。」

©新日本プロレス Sarah Hatch/@britwrespics

――運動神経がめちゃめちゃいいですね。

「瞬発力があるんです。彼はアメフトをやってて、あとテコンドーをやっていたのかな。瞬発力と打撃の両方で石井選手を追い込んでいたんですよね。」

――ヤングライオン時代は出さなかった部分を海外に行くことによって、いろんなことを吸収して学び、そこから得た部分を思いっきりぶつけてきているという感じですよね。

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「場外に走っていって、ノータッチの背面プランチャやったんです。映像見てください。めっちゃ興奮するから。ちょっとレベルが違いますね。宝物度合いが全然違います。」

――ますます若手がそういう部分で花開いてきつつあるというのはすごくうれしいですよね。

「それで、最後は内藤、ザックが大声援の中で、なんか内藤選手はアウェイ感があまりなかったんだけど。で、デ・ハポン締めで、なぜかSANADA選手はスーツで登場と。なんでなんだ?と。あれ、この人スーツ着てたかな?って。」

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――SANADA選手、スーツ姿またビシッと決まって男前なんですよね。

「イギリス紳士でしたね。本当にみんな大満足、大熱狂で、来ていた方と結構お話をしてたんですけど、もちろんイギリスの方が多いんですけど、フランス、ドイツ、オランダ、ヨーロッパ中から駆けつけてました。そもそもイギリス以外のヨーロッパで僕ら大会をやっていないじゃないですか。なおかつ3年ぶりじゃないですか。絶対行こうと思ってくれていたんでしょうね。フランスから車で来れるんです。知ってました?」

――そうなんですか?

「海底トンネルがあるんです。」

――そんなに大陸側も行き来しやすくなっているんですね。

「4時間半かけて来たとかね。みんな本当うれしそうに帰っていきましたよ。」

――でも異国の地で皆さんが喜んでいる皆さんというのは、また喜びもひとしおですよね。

「そうですね。こういう仕事をやっていたよかったなと。最初は猪木さんの10カウントから始まるわけなんですけど、最後はザックvs内藤で、内藤選手のデ・ハポン締めという、この2大会のパッケージ考えると、新日本プロレスでよかったなと。新日本プロレスで頑張れてうれしいなと思いましたね。」

――いい話ですね。新日本プロレスの50周年の歴史が世界各国に伝わっているというのが感慨ひとしおですよね。

「そう思います。」

➡次ページへ続く

③50周年記念のゴールである2023年1月4日、東京ドームに向けて掲げている目標とは?

©新日本プロレス

「WRESTLE KINGDOM 17 in 東京ドーム」
2023年1月4日(水) 開場15:00/試合開始17:00
東京・東京ドーム

――そして50周年記念のゴールである2023年1月4日、東京ドームに向けて掲げている目標を改めて、本来は猪木さんが出てきてもらうことが一つのテーマだった部分もあったのかなと思うんですけど、それが叶わなくなってしまった今、改めて思うことはいかがでしょうか?

「あそこで猪木さんをお呼びして、もし歩けないようだったら、神輿か何か担いで入ってもらおうと思ったんです。ご存命である前提で進めてきたんですけど、それは50周年の集大成を1月4日で迎える予定だったから、創設者の猪木さんは欠かせないということで進めてきたんです。だからといって、まさに歩みを止めちゃいけないと思って、50周年集大成をそこでしっかり、天国にいる猪木さんにもお見せしたいし、ちょうど世界中からファンの方々が駆けつけられるタイミングだと思うんですね。だから海外のファンの方にもご来場していただけるような、首都圏からだけじゃない、日本各地から、世界から、海外のファンも含めてご来場いただけるような試合にしたいし、カードにしたいし、何よりも猪木さんの名に恥じないような来場者数を目指したいですね。だからここで何人とは言わないですけど、猪木さんの立ち上げた会社が50周年で、この集大成をドームでやりました、たくさんの人が世界中から集まりましたよ、と言えるようにしたいですね。」

④アントニオ猪木さん終身名誉会長就任(9月1日より)について

――猪木さんが9月1日から終身名誉会長に就任した事について、本来は10月に発表という流れだったのが叶わなくなってしまいましたが、今後猪木さんに関してはこのまま終身名誉会長というかたちになるのでしょうか?
10月10日(月祝)両国大会で10カウントゴングセレモニーは行われる。

「まず我々の気持ちもそうだし、史実としても創業者、創設者としては変わりませんから、ずっと猪木さんを称えていきたいです。名前は考えます。」

――もしかしたら別の呼称になるかも分からないと。

「ただ猪木さんは長い間、多くのOBの方から会長って呼ばれているじゃないですか。私が色んな案からこの名前に決めたのは、会長という呼び名にできるからです。」

――僕もこれ、いい名前つけたなと思いましたよ。納得感があります。

「お墓の前でも皆さんがこれまで通り、会長と呼べるような名前にはしたいです。」

――多くのプロレスファンの皆さん、報道関係でもメディアでも、NHKでも特集が組まれたりするほど偉大な人物であったアントニオ猪木が創設した新日本プロレス、今回50周年を迎えるということで、ぜひこれから発展を遂げていってほしいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

「はい、猪木さんの名に恥じぬよう、更に発展させていきます。」

――本日はロングインタビュー有難うございました。

「こちらこそありがとうございました。これからも新日本プロレスに期待していてください。」

ー-大応援しております!

【新日本】大張高己社長インタビュー<第1弾>AEWとの禁断の扉、全選手が完走した『G1』、感謝のシンニチイズム、涙の9月声出し大会の裏側を明かす!

◆写真提供:新日本プロレス

<インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳>

▼前回インタビューはこちら(2022年3月)

【新日本】大張高己社長インタビュー<第1弾>50周年の重みを実感、ファンへの感謝を込めてシンニチイズムを開催、今後も様々な仕掛けを展開!

【新日本】大張高己社長インタビュー<第2弾>コロナ禍を乗り越えて新機軸を打ち出す!『新日SS』アプリ開発、旗揚げ記念日大会を終え“リベンジプロレス”を見据える!

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