戦国絵巻鮮やかに 大砲響く中、北条・豊臣が攻防戦 鉢形城跡残る寄居で3年ぶり北條まつり

大砲のごう音が鳴り響く中、勇ましい戦いを再現した攻防戦=9日、埼玉県寄居町の玉淀河原

 秋本番を迎え、埼玉県内各地で9日、歴史と伝統のある勇壮な祭りが行われた。新型コロナウイルス禍などで3、4年ぶりの開催という祭りも多く、威勢のいいかけ声やはやしに合わせて山車が引き回されたり、武者姿の行列などもあり、大勢の見物客でにぎわった。

 寄居町では戦国時代の鉢形城攻防戦を再現した「第61回寄居北條まつり」が玉淀河原などで行われた。大砲から放つごう音が鳴り響く中、迫力ある合戦が続き、勇壮な姿で再現した戦国絵巻は観衆者を魅了した。

 新型コロナウイルス禍の影響で規模を縮小して3年ぶりに開催。例年5月の第3日曜日に実施していた祭りを今月9日に延期、武者も少なくして約280人で壮烈な戦いを演じた。

 祭りは、1590(天正18)年、豊臣秀吉の小田原征伐の際、鉢形城に陣取った郷土の武将北条氏邦が3500人の兵士で、前田利家と上杉景勝が率いる5万人の豊臣陣を相手に1カ月余り続いた合戦の様子を再現。

 今年はパレードの距離も短縮して行った。手作り甲冑(かっちゅう)を身に着けた武者は雀宮公園を出発して玉淀親水遊歩道へ。玉淀河原に到着すると伝令が届き、出陣前の儀式「三献の儀」の後、両軍に分かれ勇猛な攻防戦を披露した。武者に扮(ふん)したどの子も真剣そのもの。大将同士の戦いは注目を浴びていた。

 職場が同じという嵐山町の松田のり子さんと滑川町の平田真理子さんは「活躍していた子どもたちから元気をもらいました」と笑顔。実行委員の一人、北原定行さん(68)も感無量の様子で、「(観衆者の)喜ぶ顔を見て疲れが取れた。来年も来ていただけるよう頑張ります」と話していた。

© 株式会社埼玉新聞社