みこしと激突 「やぶ」躍動の秋祭り 3年ぶりの歓声 亀山神社(広島・呉市)

久しぶりに鬼たちが躍動しました。広島・呉市の神社の秋祭りです。3年ぶりに「やぶ」とみこしが、激しくぶつかりあいました。

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思わず泣き出してしまう子どもたち…。

1300年以上の歴史がある呉市の亀山神社に突如、現れたのは、「やぶ」です。

呉市では、鬼のことを「やぶ」と呼びます。神様に仕える存在として祭りに欠かせません。それぞれの地域ごとに表情などが微妙に違います。

9日は、8匹のやぶが神社を練り歩きました。

末川 徹 記者
「『とんぼ』と呼ばれる俵みこしが、神社の境内へと入っていきます。それを『やぶ』が防ぐということで、このもみあいが祭りの醍醐味だということです。近づいてきた。迫力がある。下がってよ。(カメラにぶつかる)だいじょうぶ?」

新型コロナの影響で、ことしも規模を縮小して開催ですが、「やぶ」と俵みこしが激しくもみ合うのは、コロナ禍前以来です。

収穫の秋にあわせてコメを奉納前に清めたり、精米したりする意味が込められているといいます。

亀山神社 太刀掛 祐之 宮司
「コロナ禍に入ってからも激突するのではなく、静かに米俵をもってお宮の中に歩いて入っていくようなことはやっていたが、激突という正式な奉納行事は3年ぶりとなったので、非常にうれしく思う」

大勢の人が見つめる中、激突が盛り上がったのが…。俵みこしが境内に上がろうとすると、「やぶ」が手持ちの棒を使って、強く押し返します。

末川 徹 記者
「神社に入って…、いや、行かなかった。行かなかった。これが、何回も繰り返されている。やぶの押し返しが続いています」

時には、激しくもみあうことも…。ただ、俵みこしもかけ声とともに勢いをつけて突入を繰り返します。そして…。

末川 徹 記者
「入っていく。ようやく中に入っていきました。大観衆、拍手です」

境内でお供えし、無事、奉納されました。

広島市から訪れた人
「呉の人に教えてもらって初めてきたが、すごかった。こんなに大きなお祭りを初めて見た」

地元の中学生
「激しくて、やぶらしく、すごかったです。こういう祭りのやぶになってみたいと思いました」

アルゼンチンから訪れた人
「怖い。怖い。でも、おもしろかった。よかった。日本・呉の文化よね。大好き」O

亀山神社 青年部長 野村 勇人さん
「(魅力は)躍動感ですかね。いや、もう最高です。コロナ禍で思いどおりにできない中、十分いい祭りだった」

亀山神社 太刀掛 祐之 宮司
「祭りは、地域の守り神ということ。コロナ禍だからこそ、疫病退散や氏子の生活の安定などを祈るためにも、しっかりと伝統を継ぎ、今後も続けていきたい」

コロナ禍で制約を強いられた中、3年ぶりの本格的な「秋祭り」…。「やぶ」が秋の呉の街に活気をもたらしました。

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