技術受け継ぎ「伝馬船」進水 五島の桶職人ら建造 富山の船大工に師事

進水した伝馬船で櫓をこぐ光一さん(右から2人目)=五島市、丹奈漁港

 伝統的な木造和船の技術を受け継ごうと、長崎県五島市岐宿町の桶(おけ)職人、宮﨑光一さん(30)らが建造した櫓(ろ)こぎの伝馬船が完成し、同市玉之浦町の丹奈漁港で10日、進水式があった。
 繊維強化プラスチック(FRP)漁船の導入や高齢化などで船大工職人が減り、現在は全国に数人しかいないという。岐宿町でもかつて造られていた和船の技術を継承しようと、宮﨑さんの父で医師の昭行さん(69)が3年前に建造を開始。富山県氷見市の船大工職人、番匠(ばんしょう)光昭さん(76)の下で、昨年までに3隻完成させた。
 光一さんにとって2隻目となる今回、氷見市で5月下旬から約1カ月間、のこぎりの刃を研ぐ「目立て職人」の男性と造った。主に杉を使い長さ4.5メートル。曲線を施しながら、水漏れさせないよう慎重に作業を進めたという。
 進水式には番匠さんも駆けつけた。安全祈願と餅まきの後、光一さんらが乗り込んで海に出ると、集まった知人ら約50人から拍手が起きた。子どもたちも乗船し伝馬船の乗り心地を楽しんだ。
 和船の技術を応用し、桶以外の商品開発に取り組む光一さんは「乗り心地が良く達成感があった。今後も伝馬船を造っていく。事業者と連携し、乗船体験など観光で活用したい」と話した。


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