大原美術館 図録18年ぶり刷新 傑作151点 展示館にもスポット

全ジャンルを網羅した図録としては18年ぶりの発刊になる「大原美術館+ 作品151と建築」

 大原美術館(倉敷市中央)は、3千件を超える収蔵品から代表作を紹介する図録「大原美術館+(プラス) 作品151と建築」を発刊した。西洋・東洋美術など計151点の傑作を掲載しており、全ジャンルを網羅した図録としては2004年以来18年ぶりの刷新。各展示館についても新たにスポットを当てている。

 エル・グレコ「受胎告知」やモネ「睡蓮(すいれん)」といった美術館の“顔”ともいえる西洋画をはじめ、日本の近現代美術や東洋美術、エジプト・西アジアの古美術、工芸など、原則1~2ページに1点ずつをカラー写真とともに収録。学芸員らが解説文を書き下ろした。

 作品は、総社市出身の建築家薬師寺主計が手がけた本館を筆頭に展示館ごとにまとめ、「家に帰ってからも、順路を思い出すように作品を楽しめる趣向にした」と美術館。各館の冒頭に、建物の歴史や特徴を記している。

 高階秀爾館長と大原あかね理事長の対談も載せた。1930(昭和5)年の開館からの歩みを振り返るとともに、2030年の100周年を見据えた意気込みを語っている。

 装丁デザインは、各館の窓や扉の意匠などをモチーフに、県内を拠点に活動するデザインユニット・COCHAE(コチャエ)が担当した。

 新型コロナウイルス禍で長期休館を余儀なくされるなど入館者が大きく減る中、学芸員の大塚優美さんは「タイトルの『+』に美術館や作品をもっと知り、足を運んでもらいたいという思いを込めた。魅力をお届けできれば」と話している。

 A4判変型208ページ。2970円。ミュージアムショップなどで販売している。問い合わせは同美術館(086―422―0005)。

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