新聞記事で地域つなぐ 公民館に届けて10年、町の話題に会話弾む 沖縄・北谷町栄口販売店 きょう「新聞配達の日」

 【北谷】16日は新聞配達の日。沖縄県北谷町栄口区公民館(島袋艶子自治会長)を訪れた人なら誰でも目がいくだろう。館内に入ると右手の壁に張られた十数枚の写真。同区のイベントや行事など、最新の新聞記事をA3サイズに拡大したラミネートが張り出されている。公民館を訪れる区民や区外の客も立ち止まって見入り、その空間では町の話題に言葉が弾み、笑顔が尽きない。

 栄口区の記事が掲載されるとすぐにコピーして拡大し、ラミネートを施す。その足で公民館へ届ける。その作業を10年間続けているのは琉球新報栄口販売店の古堅宗一店主(51)だ。

 古堅さんは県外の大学を卒業して沖縄へ帰郷し、富士フイルムの関連企業で働いていたが、栄口販売店を営んでいた母親が65歳での引退を決意したことで41歳で販売店の後を継いだ。現在は前職の経験も生かし、自ら地域や学校の話題、ごみ回収の協力など写真入りの記事文でミニコミ紙「地域の輪」を発刊し、配布している。

 「母親の仕事を手伝うことはあったので、仕事の工程は知っているつもりだったが最初は大変だった。地域とのつながりが大切と気付いたのはずっと後だ」と、古堅さんは目を細める。

 島袋自治会長は「古堅さんのおかげで公民館の入り口が明るくなった。みんなのユンタクを聞いていると私も楽しくなる」と笑顔。古堅さんは「母の25年は簡単に引き継げるものではないが地域の皆さんに恩返しをしていく気持ち忘れず努力をしていきたい」と話した。

(山川宗司通信員)

© 株式会社琉球新報社