アドビ、Creative Cloud新アップデート公開。Frame.ioはCamera to Cloudの次世代構想を発表

アドビは、Adobe MAX開催に合わせてCreative CloudおよびSubstance 3Dのアップデートを公開した。その中からビデオ製品のアップデートに関する内容(2022年10月リリース)を紹介する。

ボディ内記録なしで収録中素材をそのままクラウドへアップロード

2021年にアドビファミリーに加わったFrame.ioは、カメラからクラウドに即座にアップロードできる「Camera to Cloud」の次世代構想を発表した。NAB 2022ではFiLMiC Pro、IBC 2022ではMo-Sys enginieeringへの対応を発表し、現在200以上のデバイスをサポートしている。

これまでのCamera to Cloudは、一度カメラボディ内の記録メディアに保存した素材をクラウドへアップロードをしていた。新バージョンではRED製シネマカメラ対応と富士フイルム製カメラとの新しいパートナーシップにより、カメラボディ内記録なしでクラウドへアップロードが可能となる。この新しいイノベーション(2022年後半より利用可能)により、RED V-RaptorとV-Raptor XLは8K REDCODE RAWファイルをカメラからクラウドに直接アップロードが可能になる。富士フイルムのX-H2Sは、Frame.io Camera to Cloudとネイティブに統合された世界初のデジタルスチルカメラとなり、ファイル転送アタッチメント「FT-XH」と組み合わせてインターネット接続を確立することにより、写真のワークフローは完全にクラウドベースを実現できる。X-H2SとFT-XHの対応ファームウェアは、2023年春にリリース予定としている。カメラが内部記録メディアを持たなくなる次世代環境に一歩近づいたといえるだろう。

(01)Frame.ioとV-RAPTORの接続工程。V-RAPTORをインターネットに接続して「Media」メニューをクリック、「Network OFFROAD」に移動。機能を有効にして、Flame.ioを接続先として選択する
(02)接続すると、カメラが一時的に6桁のコードを生成する。スマートフォンでFlame.ioを開き、6桁のコードを入力すると、カメラからクラウドに直接接続が可能になる
(03)帯域幅に応じてアップロードするアセットファイルの選択が可能。8K RAWファイルはサイズが大きいので、他のファイルタイプを選択可能

Premiere Proはエッセンシャルグラフィックスパネルを強化

2022年10月リリースのPremiere Proでは、「レガシータイトル」が廃止される。今後はエッセンシャルグラフィックスパネルでテキスト制作を行い、モーショングラフィックステンプレートとの連携や今後のPremiere Proアップデートとの機能連携が可能になるという。

今回のアップデートでは、エッセンシャルグラフィックスパネルに多数のアップデートが行われている。2022年6月リリースでは境界線のグラデーション付けが可能になったが、新バージョンではさらに境界線の「内側」「外側」「中央」の選択ができるようになった。「内側」を選ぶだけでも、イメージの印象を大きく変えることが可能になる。

画面中央の例は境界線の「外側」を選択した状態。境界線は「内側」も選ぶことが可能※画像をクリックして拡大
境界線の「内側」を選択した状態※画像をクリックして拡大

境界線は重ねて利用が可能で、ここでは「内側」の下に「内側」を設定した。さらに違ったイメージを実現することを可能としている。

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さらにエッセンシャルグラフィックスパネルは、テキストをビデオフレームに合わせる機能を搭載した。これまでのテキスト整列機能は、選択範囲を基準に揃える機能を搭載していた。例えば2つの文字を左揃えに選択すると、「プレミアプロ」の文字枠左に合わせて「フォトショップ」の文字が揃う。

右揃えにすると「プレミアプロ」の文字に右揃えを実現する。「真ん中に揃え」は2つ文字を真ん中に揃えることを可能としていた。

新バージョンでは「ビデオフレームに合わせる」が追加され、テキストをビデオフレームに合わせて揃えることが可能になる。2つのテキストはどこにあっても画面の左端に揃えられ、右揃えは画面の右に揃うようになる。

「ビデオフレームに合わせる」を設定し、上から「左揃え」「右揃え」を選択した場合

グループとしてビデオフレームに合わせる機能も追加された。2つの文字の位置関係を維持したまま、左揃えや右揃えを実現できる。これまで上揃えにした場合、2つのテキストは重なり崩れてしまったが、グループとしてビデオフレームに合わせる機能を使うことで、スタイルを保ったまま移動が可能になる。

上から「グループとしてビデオフレームに合わせる」を選択し、左揃え、右揃え、上揃えを選択した場合

またこれまでテキストのフォントを揃えたい場合は、テキストを一個一個選択して調整しなければいけなかった。新バージョンではタイムラインで複数のタイトルクリップを選択して、一括してフォントやフォントサイズ、色、背景を調整することができるようになる。

After Effectsで作成されたモーショングラフィックステンプレートは、マルチフレームレンダリングを使用してパフォーマンスを2倍高速化できる機能強化も行われている。

After Effectsはトラックマットレイヤーの操作性を改善

最後に、After EffectsとCharacter Animatorのバージョンアップ内容を紹介しよう。

After Effectsは、H.264のネイティブエンコーディングやトラックマットレイヤーを選択可能になる。これまではコンテンツのレイヤー上にシェイプやテキストなど合成させる範囲を追加する必要があり、レイヤー構造の制限で煩雑になることが多かった。新バージョンではシンプルに作業ができるように改善された。

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Character Animatorはモーションライブラリーの追加が可能になり、ダンスや歩行が可能になる。自分のイメージに合った動きを入れることで、よりキャラクターの活性化を可能としている。

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