12年に一度の「牛まつり」町に笑顔 広島・府中町 多家神社

12年に一度だけ行われるお祭りが、先日、広島・府中町でありました。コロナ禍でできなかった行事もあり、町は、久しぶりに住民たちの笑顔があふれました。

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府中町の山田地区です。たくさんの人が祭りの準備をしていました。

中学生
ー この祭り、見たことありますか?
「なかったです」

それもそのはず、この「牛祭り」は12年に一度、丑年にだけ行われるめったに見られない行事です。

丑年だった去年、行われる予定でしたが、新型コロナの影響で延期されていました。

中学生
ー 何の役?
「牛の役です」

張りぼての牛の中に人が入って歩きます。

山田町内会 竹原 好美 会長
「去年のコロナの悪魔から立ち上がって、最初の本当の祭りです。きょうはみなさん、がんばって、よろしくお願いしたいと思います」

大人の牛と牛追いが先頭を歩きます。その後ろに子どもの牛が続きます。

次は、苗組と呼ばれる苗や農具を持った集団です。

最後尾は、早乙女が田植えの動きを取り入れた踊りを披露します。

およそ200人の大行列です。

見物していた人
「うれしいと思いますね。少しずつ、こういうのが復活してくると」

牛祭りは750年ほど前、鎌倉時代から続く伝統行事です。昔は本物の牛を使い、五穀豊穣を願って田植え前に毎年、行われていました。しかし、戦争での中断などを経て、今の形になったそうです。

長い階段を一気に登ります。牛は、ここでお役御免です。

牛に入っていた中学生
「がんばりました。階段、きつかったです。めっちゃきつかったです。ぼくは初めてやったんですけど、こういう町内の伝統に触れることができて、本当によかったと思います」

早乙女が踊りながら拝殿に向かいます。

参加した人たち
「みんなで歩くのが、踊るのがなんか楽しかったです」

「地域の方と仲良くなれて、よかったです」

山田町内会 竹原 好美 会長
「わたしの代、次の代、ずっと続いていってほしいと思います」

次にやって来たのは、別の町内会が奉納する「シャギリ」です。江戸時代から毎年、行われている伝統行事です。

府中音頭に合わせて踊り、町内を練り歩きます。新型コロナの影響で中止が続いていましたが、3年ぶりの復活です。

見物した人たち
「この府中音頭を聞くと、みんなの励みになって。にぎやかに今まで通りに復活できて、本当にいいことだと思います」

「町が活気が出てすごくいいと思います」

久しぶりの行事で舞手も少し勝手が違ったそうです。

参加した人
「まず、なんか踊りを忘れていました。でも楽しかったです」

外国人留学生も行事に参加していました。町内会の地域が2018年の西日本豪雨で被災したときに外国人留学生が復興ボランティアに来てくれたことがきっかけです。

ナイジェリアからの留学生
「楽しかったです」

中国からの留学生
「すごく感動しました」

インドネシアからの留学生
「一生忘れられない体験ですね。祭りは現地の人と、例えば県外から来る人とかも1つの空間で1つになれる。交流できる」

辻町内会 宍戸 篤 会長
「よかった。留学生のみんなが喜んでくれたから。なんか恩返しができた」

多家神社 飯田 誠 宮司
「こういったお祭りを機会にたまに会う方、久しぶりに会う方、そういう方と会って近況を報告したりもそうでしょうし、そういったお互いのことを思い出す、大事なつながりを持つ機会になれば」

たくさんの人が3年ぶりに交流を深めた秋祭り…。少しずつ日常が戻ってきています。

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